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今月の特集

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2002年9月

ローカルフード特集 (1)


ローカルフードのルーツ

 シンガポールの食文化のルーツを探る時、この国の歴史を語らずにはいられません。
 1819年、イギリス人のスタンフォード・ラッフルズはこの地を自由貿易港としてスタートさせました。その後様々な国から移民たちが経済活動のチャンスを求めて上陸。
彼らは同郷同士で集い、故郷を懐かしみ母国の食事を作ります。この地に定住した移民たちがそれぞれの国の伝統料理を持ち込み、それらが混ざり合ってシンガポールの食文化が生まれ育っていきました。
 さらに常においしい食べ物を求めるシンガポーリアンの口にあうように料理を工夫。
激しい競争のなか飲食業界は生き残りをはかり料理の幅が広がっていきました。これが現在のローカルフードのルーツです。
 例えば、ハイナン・チキンライスやフィッシュヘッドカレーはシンガポール料理です。海南島やインドではこうした料理を見かけません。
様々な料理との出合いがローカルフードを築きあげました。

 イスラム教徒は豚肉を、ヒンズー教徒と厳格な仏教徒は牛肉を避けます。多くの中国人は堅くて消化のしにくい羊肉を好みません。しかし、シンガポールでは万人向きに工夫した料理をつくることによって、共に楽しむことができるようになりました。

 人々にしみ込んだ適応力と独特のアレンジが、伝統的な料理には存在しなかったローカルフードを生み出し、シンガポールの食の世界を支えているのです。
● ムルタバ
  薄くのばした小麦粉の生地に、たっぷりのスパイシーな具が入った、お好み焼きのようなムルタバ。
ホッカーやアラブストリート界隈で口にした方も多いはずです。
 ムルタバは、インドや中近東の料理と考えられていますが、各地方によって作り方が異なりますのでシンガポールのものはローカルフードといえるでしょう。世界的に見てもシンガポールやマレーシアで多く食べられています。カレーを使用したり、イスラム教にあう食材を使ったりするため、シンガポールではインド・マレー料理、ムスリム料理などに分類されています。しかしながら、各国で独自の形を築いていったので、一概にどこの地方の料理とはいえません。
 東南アジアや中近東にはシンガポールのムルタバとよく似たものがあります。イエメンのムタッバカはニラ、トマト、卵を混ぜたものを生地に包んで焼きます。ちなみにムタッバカとはニラを意味します。インドネシアのマルタバは半焼けの生地に牛肉、ニンジン、ネギなどを蒸し焼きに、中東の各国のムルタバはマトンなどのハラルフードにカレー粉を混ぜ、生地と一緒に焼きます。生地に具を入れないでカレーにつけて食べるインドではムルタバと似たような食べ物をあまり見かけることはありません。
 シンガポールやマレーシアでは種類も様々。何も付けないで食べるものもあれば、スパイシーなムルタバに更にカレーをつけるものもあります。両国ともムルタバはイスラム教の食べ物と考えられていることもあり、中身はイスラム教で許されたチキンやマトンなどが入ります。どこで食べても安価で量も多いのでお腹は満足です。
● チキンライス
 チキンライスと聞けば日本で食べるケチャップ味のものを思い浮かべます。シンガポールのチキンライスは全く別のものです。 ハーブと塩をすりこんでボイルまたはローストした鶏肉を、鶏のスープで炊いたご飯の上にのせて、好みでチリソース、醤油・生姜ダレで食べるかけご飯の一種です。必ずきゅうりの薄切りが添えてあります。

 最もポピュラーなのは海南(ハイナン)チキンライスです。中国の海南島から来た料理のように思われがちですが、実はシンガポールに渡って来た海南島人だけが作っていたもので、実際に海南島で見つけるのはとても難しいそうです。
ホワイト・スチーム・チキン(蒸 し鶏)が中心で、鶏肉は冷めていて薬味はチリ。

 一方、広東系のチキンライスはブラック・ロースト・チキン(焼いたもの)とブラック・スチームド・チキン(蒸してソースをつけたもの)があり、鶏肉は温かく薬味はチリと生姜。お店によっては海南チキンライスもスチームとローストのタイプがあり、もも肉かむね肉か食べたい部分を選べます。 またホーカーなどでは$2〜$4で食べられますが、ホテルなどの有名レストランでは$18前後するものもあります。どちらも鶏肉が大変柔らかくてジューシーです。
※ホムデンは特有の香りと風味をもつ小粒の赤たまねぎで、日本にある大玉の赤たまねぎとは別です。
※マナオはライムの一種で酸味と香りをつけるのに欠かせないものです。すだち、レモン等で代用しても良いでしょう。
Chatterbox Coffee House
333 Orchard Rd 1st Floor Mandarin Singapore 238867

Wee Nam Kee Chicken Rice
#01-09 Novena Ville
● ポピア
 ポピアは柔らかい皮の中にキュウリや大根などの野菜、ニンニク、ピーナッツの粉などを入れた春巻のような料理です。しかし、おのおのが好みのものを入れるため、どこの地方の料理かは定かではありません。マレー半島で形を変えたためペラナカン料理と考えられたり、米粉を使った皮を用いることから福建料理とも考えられたりしています。各家庭によって入れるものが異なっているので、おふくろの味ともいえます。

 春巻のような食べ物はアジアの各地にあります。ポピアは中国語で薄餅(パゥピン)といいます。薄餅は周りの薄い皮を意味し、薄餅に具を包んで焼いたものが春餅、揚げたものが春捲です。春捲は日本の春巻、英語のSpring Rollと同様のものです。シンガポールをはじめタイやマレーシアのポピア(春巻)は中国語の薄餅が訛ったと考えられます。

 一方、台湾では、潤餅(ルンピィアン)と言います。
インドネシアやフィリピンでは春巻のことをルンピアと呼び、潤餅がそれぞれの国で独自の形となりました。
 シンガポールではホーカーの専門店、ペラナカン料理店、中華料理店などで食べることができます。
 ホーカーではその場で調理してくれますが、レストランへ行くと自分で具をチョイスして皮に包んで食べるところもあります。
あまり具を入れすぎると食べている最中に具が飛び出しますので量の見極めが大切です。また入れる具によって味も変わるので、具の量と素材は上手にチョイスしましょう。
HOCK Heng
#01-03 X Xi An Food Street
Shaw Leisure Galleryloo Beach Road
● 肉骨茶(バクテー)
 シンガポールの代表的なローカルフードのひとつ、肉骨茶。福建語のバクテー(Bak Kut Ter)という名前でよく知られています。 骨付きの豚肉をハーブや漢方薬、ニンニクを入れて煮込んだ料理ですが、店によって味は様々です。 味はこくが深く、見た目とは違い以外とあっさりしているのが特徴。じっくりと煮込んだスープにはいろいろなエキスが詰まっています。

 バクテー誕生の由来は諸説あります。
 シンガポールでは潮州出身の港湾労働者が船の荷物を積みおろす際、力を付けるために漢方薬を入れた豚の煮込み料理を朝食に取ったものがバクテーとして浸透したといわれています。 
 マレーシアでは病弱の子供のために、漢方医が何とかしておいしく薬を飲ませようと考え出した薬膳料理がバクテーだとのいわれがあります。そのため、スープには漢方薬で用いる素材も数多く含まれております。丁字、八角、クコ、イスイ、地黄など体を温めたり胃の働きをよくしたりする素材で煮込んであるため、ヘルシーで胃がもたれません。

 バクテーは大まかに分けてスープが透明な潮州流と黒い福建流の2種類です。潮州流のものは漢方薬の味よりも、ニンニクとコショウの風味が強く、あっさりしており、肉の脂身が少ないものが多いようです。

 一方、福建流のバクテーは脂身が多く、スープは甘辛。骨付きの豚肉の他にもレバーや椎茸、油揚げ、魚のすり身、湯葉などが入ったものもあります。
黄亜細肉骨茶
206/208 Rangoon Road

星都肉骨茶
24 Eunos Crescent #01-2431
● ラクサ
 シンガポールの麺類といえばラクサと思い浮かべるほどポピュラーなローカルフードです。ニョニャ料理ともタイから伝えられたともいわれています。

 ラクサといえば海老などの海鮮ダシにココナッツミルクとチリの味が効いた麺を想像します。このラクサはカトンラクサと呼ばれ、シンガポール東部のカトン地区の名物です。
 麺はビーフンを使ったものが多く、長さは5センチほど。店によっては箸を使わずにレンゲのみで食べるところもあります。また、マレーシアなどでシンガポールラクサともいうカレー風味のラクサは、カリーミーという名前で売られています。
 マレーシアまで視野を広げてみると様々な種類のラクサに出会えます。 例えばカトンラクサと同じくらい有名なペナンラクサ。マレーシアのペナン地方の名物料理ですが、別名アッサムラクサとも呼ばれます。アッサムとは現地の言葉でもともと酸っぱいという意味。魚のダシにトウガラシとマメ科の植物で酸味の強いタマリンドを加えたスープにビーフンや中華麺を入れます。酸味や辛みが強く、魚や厚揚げなどをトッピングします。

作り方も独特で、椀に麺を入れ、スープをかけては戻し、それを繰り返すことで麺を柔らかくしていきます。
 ボルネオ島のサラワクラクサは麺がそうめんのように細いのが特徴。味はコショウの味が強いものが多く、他のラクサに比べあっさりしています。
 東南アジア各国でこれらのラクサと似たような味を食することができます。
Marine Parade Laksa
Nan Sin Food Centre 57/59 East Coast Road
● オタオタ
 独特の風味で当地でも人気の高いニョニャ料理の代表メニュー、オタオタ。この暑いシンガポールでビールのお供に欠かせない存在です。
 イギリス植民地時代、シンガポールにビジネスチャンスを求めてやって来た華僑男性とマレー女性が結婚し「ペラナカン料理」が生まれました。 現地化した中国人男性は「ババ」、女性は「ニョニャ」、その間に生まれた子供のことを「ペラナカン」言います。中国人男性を夫に持つマレー人女性の作った料理がニョニャ料理で、中国料理にココナツやスパイスを多用するマレー料理をミックスしたのが特徴です。
 魚のすり身をパンダンリーフやバナナの葉で包み焼いた、柔らかいかまぼこのようなオタオタ。いろいろな種類がありますが、魚の臭みを消すためにチリなどで味付けしたスパイシーなものが日本人の間で人気です。
 ガス火で焼いてもいいのですが、バーベキューなどで炭火で焼くと更に美味しくいただけます。 最近、独創的な商品を作ることで人気のパン屋にイカのすり身で作ったオタをパンに包んだソトン・オタ(1.20ドル)が売られています。また、寿司屋のネタとしても登場するほど、オタオタは人気があります 。
 シンガポールではとても身近な料理として親しまれるオタオタ。作り方も簡単なので、ぜひトライしてみてはいかがでしょうか?
Goh and Chan Otah
#01-78 Aljunied Avenue 2  BLK117 Food Cntre
● アイスカチャン
 シンガポールは常夏。年中冷たいものが欲しくなります。フルーツジュースやソフトクリームもいいけれど、なんといってもかき氷です。
 シンガポールには日本の氷あずきに似た食べ物があります。名前はアイスカチャン。
カチャンとはマレー語で「豆」という意味です。色が付いたシロップや色とりどりの食材を使うため、見た目がとてもカラフルです。一般的なアイスカチャンはお皿に小豆を敷き、氷を乗せ、味付けにコンデンスミルクやココナッツミルク、シロップなどをかけます。トッピングはパパイヤ、マンゴーなどのフルーツカクテル、ナタデココ、パンダンリーフのゼリー(アガアガ)、スイートコーンなど。甘すぎず、山盛りの氷もあっという間に食べられます。
 アイスカチャンはシンガポールとマレーシアにありますが、マレーシアではABCと呼ばれています。ABCはマレー語のAIR BATU CAMPERの略。混ぜた氷を意味します。各国のかき氷の中ではフルーツが乗っているということで、韓国のパッビンス、鹿児島県の白熊などと似ています。
 また、シンガポールでは、かき氷のように氷を山盛りにして食べるほかにも、氷をボールにして食べる習慣もありました。氷の中に小豆、ゼリーなどを入れ、具を包み込み上から緑、赤、黄色のシロップやコンデンスミルクをかけておにぎりのように食べます。
 作る際にはナツメグの実やチェンドル、砂糖つきのゼリーなどをトッピングしてもおいしくいただけます。
Kopitiam, Newton Circus,
Lau Pa Sat Festival Market
ホーカーセンターなど。

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