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2001年7月

Summer Vacation

サマーバケーション

Summer Vacation Q 素朴で優しい仏教国
ミャンマーの旅

 シンガポールから空路で3時間20分。そこに、人々の純朴で優しい笑顔が印象的な仏教国ミャンマー(ビルマ)がある。仏教信仰が深く根づくこの国では、リゾート地とはまた違った趣の旅が味わえる。シンガポールから行きやすいミャンマーは、素朴でエキゾチックな雰囲気に満ちた魅力ある国だ。

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●ヤンゴン
 ミャンマーの旅なら、首都ヤンゴンと古都バガンが外せない。ヤンゴン市のシンボル的存在が黄金のシェダゴンパゴダ。ヤンゴン市を見下ろすかのように北部の丘にそびえ、参道も境内も広々として立派だ。とにかく大きいパゴダなので、時間をかけて見学したい地。18世紀後半にじゅ造された釣り鐘、願いが叶うという祈祷場所、仏陀の足跡、ビルマ独立へと導いた学生運動の記念碑、ルビーの眼をした仏像など、見どころは多い。このパゴダの起源は、紀元前585年までさかのぼる。当時インドで仏陀に出会った兄弟が聖髪をもらい、この地に奉納したのが、パゴダ建立の始まりと言われる。その後次々に拡張され、大小60以上の塔を有する一大パゴダとして完成した。
 ヤンゴンで必見のひとつが、寝釈迦仏を祀るチャウタジパゴダ。この寝釈迦仏、全長70メートル、高さ17メートルと、とにかくビッグ。柔和な顔の表情がとても印象的だ。足の裏に見られる黄金の仏教宇宙観図も興味深い。

 マイラムパゴダには、上半身を起こして優雅に横向きにたたずむ大仏がある。ここも敷地が広く、境内には仏教説話に基づくいろいろなシーン・像が配置されている。点在する様々なサイズの像は、近寄ってよく見ると迫力あり、恐ささえ感じられる。大仏の顔も、柔和な中にも目がキリリとした印象を与える。
 ミャンマーには3千以上のパゴダが点在しており、パゴダはこの国のシンボルとも言えよう。数あるパゴダの中で、悠久の歴史を持つのがボウタタウンパゴダ。ヤンゴン川沿いに建つこのパゴダは、紀元前、8人の僧がインドから仏陀の遺品を持ち帰りここに安置したことに始まる。第2次世界大戦中に爆撃を受け崩壊したが、改修工事中に数々の奉納物が発見されたという特異の歴史を持つ。当時の発見物は現在、パゴダ内で見ることができる。ただし、発見物の中でも、仏陀の遺髪や聖歯と推定される貴重品は一般公開されていない。広い境内には、亀と鯉のいる池もある。

 ミャンマーのパゴダは、現在も人々の信仰の対象となっており、その意味合いは他の仏教遺跡と大きく異なる。ヤンゴンの中心にあたるスーレーパゴダには、朝から夜まで、終日祈りを捧げる市民の姿が見られる。境内にたたずみ、静かに祈る人々に混じっていると、清々しい思いがしてくるから不思議だ。


 パゴダをじっくり回ったら、ヤンゴン最大級のマーケット、ボージョーアウンサン・マーケットへ行こう。マーケットと言っても生鮮市場(ウェットマーケット)ではなく、建物内にある土産品などが買える大商店街といった趣がある。民族衣装のロンジー、その他衣類、宝石、服飾雑貨、漆器、小物など、ミャンマー産品が目白押し。人気のロンジーは手頃な価格のものから高級品までいろいろある。このマーケットと歩道橋で連結されているのが、ヤンゴン市民御用達のニューボージョーマーケット。ここでは生鮮品や日用品が手に入る。
 その他の主な見どころとしては、高さ8メートル以上の「獅子の王座」が収蔵されている国立博物館、世界一大きいルビーの原石が見られる宝石博物館、ボートにも乗れる動物園、水上レストランもある静かな憩いの場であるカンドージー湖などがある。

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●バガン
 ヤンゴンから国内線に約1時間乗ると、ミャンマーが誇る仏教の聖地バガンに到着する。バガンの仏教遺跡は、カンボジアのアンコール遺跡、インドネシアのボロブドゥール遺跡と並び、世界3大仏教遺跡と言われ、一度は是非足を運びたい地区だ。
 バガンに残るパゴダは3千以上と言われ、赤茶色の大地に圧倒されるほど多数のパゴダが点在している。これら現存しているパゴダの大半は、11〜13世紀に建立されたもので、大きさはまちまちだ。静寂に満ちた遺跡群の中を歩いていると、遺跡に隠れるかのように畑が耕されているのに気づく。単なる遺跡観光地ではなく、今も人々が生活を営んでいる地区なのだと納得させられる。
 バガンを代表するパゴダと言えば、アーナンダ寺院とシュエジゴンパゴダだ。バガンの遺跡の中でも最大で均整美を誇っているのが、11世紀末に建立されたアーナンダ寺院。中央に高くそびえる塔を中心に、四方に低い塔がバランス良く配されている。本堂は一辺53メートルの正方形で、4カ所の入り口がある。本堂には、仏像4体が東西南北を向いた形で奉納されているので、じっくり見学したい。
 シュエジゴンパゴダは、青空に壮大にそびえる黄金の塔がひときわ美しい。敷地も広々としており、境内にたたずむと、歴史の流れがしみじみと感じられる。このパゴダには、仏陀の歯と骨が安置されている。
 アーナンダ寺院の約40年後に完成したシュエグージー寺院も、中央塔が高くそびえるこぢんまりとした寺院。注意して見ると、壁面などあちこちに装飾跡が見られ、かつての面影がしのばれる。
 シュエグージー寺院とほぼ同時期に建てられたのがタビニュ寺院。バガンに数ある寺院の中でも最も高く、内部は二層構造になっている。テラスから一望できる、平原に点在する遺跡群の姿は圧巻だ。
 変わったところでは、バガン唯一のヒンズー寺院のナツラウン寺院がある。仏教伝来以前、10世紀前半に建立され、寺院内にシヴァ神が祀られ、外側にはヴィシュヌ神の化身像がある。
 他のバガンとは外観からして趣を異にするダマヤンジー寺院も興味深い。この寺院は、12世紀後半に即位したナラトゥ王が建立に着手したものの、未完成のまま現存している。即位を狙ったナラトゥ王は、王位にあった父と王子だった兄を暗殺。即位後、改悛の情に駆られ、それまでにない最大級で独特の設計を持つ寺院建立を開始した。しかし、即位からわずか3年後(一説では5年後)に自らも暗殺の犠牲に遭い、寺院建立は中断され、荒廃が進んだ。本尊となる仏像は奉納されていたため、現在も仏像を目にすることができる。薄暗い天井に目をこらすとコウモリの姿が見えるなど、寂寥(せきりょう)感が漂う。亡霊が出るというウワサもあり、地元の人々は夜には絶対近寄らないと言われる。

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 バガンには、とにかくパゴダが数多い。地元の人々が気軽に訪れるパゴダもあり、至るところで人々の信仰心に触れることができる。そして、バガンツアーのハイライトは「夕日鑑賞」。パゴダから眺める夕日は絶景で、思い出に残ること間違いなし。遠い昔の栄枯盛衰に思いを馳せつつ、暮れなずむ空を眺めていると、諸行無常という言葉がぴったりあてはまる感じがする。


パルティ 2001年7月号 掲載

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