トップページに戻る

まんだりん 面白話

バックナンバー


2007年 2月

第六十二話
中国正月とブタ年

 日本では正月気分はもうとっくに消えてしまいましたが、中国人にとっては旧正月の「春節」が新年の始まりで、これから「送旧迎新」をします。旧暦では今年は「亥の年」で、2月18日からです。

 日本では「亥の年」のことを「イノシシ年」と呼びますが、中国人は「ブタ年」と言います。「イノシシ」は中国語では「野猪」、つまり野生の豚です。

 イメージ的にもずいぶん違います。中国人から見たブタは昔から家畜として親しまれ、「かわいい」「多産」「裕福」という意味で「金猪」という別称も持っています。最近、中国では改良した子豚がペットとして飼われているそうですが、一方で「汚い」「怠け者」「無能」という意味もあり、罵る言葉に使われたりします。

 イノシシ(野猪)は中国人には、「醜い」「野生凶悪」「農業に被害をもたらす」というイメージしかありません。ですから中学生のころ、「猪口」という名前の日本の方に会った時、びっくりしました。また、ブタとイノシシの違いは知りませんでした。数年前に四国の高知に住んでいた頃、夜の山道で3~4頭の子猪を連れた猪の家族をよく見かけました。思ったより小さくて怖くはありませんでした。冬には何回か牡丹鍋を食べた経験もあって、「ブタ」と「野猪」の間のような感じがしました。

 中国人は干支を使って人生のすべての「凶吉」を占うのが好きです。去年1月29日から今年2月17日までの戌年には二回の「立春」があって、「大吉」の年とされ、多くの若者が結婚式を挙げました。このところ中国では春節までの2か月に「結婚ラッシュ」が起きているそうです。2月18日からの亥の年には「立春」がないから「無春年」つまり「寡婦年」という迷信的なうわさが広まったからです(実際は次の立春は旧暦の年初ではなくて年末にあります)。一方、亥の年に生まれた子供は「多福」とされ、「二春」年には結婚、「金猪」年には子宝、という計算になり、中国ではまた「ベビーブーム」を迎えそうです。

 日本は団塊世代の大量退職、ますますの少子化、人手不足の時代に突入しますが、中国でも不動産バブル、株式市場過熱、格差社会など諸問題を抱えています。この亥の年は「猪突猛進」でもいいし、「金猪」でもいいから、平和であるように願って止みません。

●豆知識

シンガポールではお歳暮の風習はないものの、年始回りは盛んです。人の家を訪ねたり、どこかで会ったりした時の挨拶は「恭喜發財」(儲かるように)で、それと同時に福桔(ミカンではなく、橘子)を二つ差し出します。黄金色の橘子は財産や大吉を意味します。そして、帰り際に相手からも同じような福桔を二つ頂きます。次のところでも同じことを繰り返すので、年始回りにはお金がかからず、多くの家や会社を回っても、最後に福桔が二つ残ります。


中国語とマンダリン

 中国は国土が960万平方キロ、日本の約26倍の広さで、ヨーロッパがすっぽり入る面積です。したがって、地方ごとに「方言」があり、その発音はまったく違います。ヨーロッパでドイツ語とイタリア語が違うように、たとえば北京の人と上海の人とでは、通訳がないと会話が成り立ちません。
そこで、コミュニケーション用の共通語が必要になります。こうして定められた言葉が「マンダリン」です。大陸では「普通語」といい、「普」遍的に「通」用するという意味です。
したがって、「マンダリン」あるいは「普通語」は、中国人および華人の共通言語で、外国人からは「標準中国語」と呼ばれています。

葛珠慧(ガー・チュイフィー)先生

星日外国語学院院長、シンガポール大学(NUS)・南洋理工大学(NTU)日本語非常勤講師。元CCTV(中国国家テレビ局)国際部キャスター


長年シンガポール大学の日本語講師を務められている葛先生は、上海のご出身(現在はシンガポール国籍を取得されています)。ご主人ともども日本留学経験のある親日家です。
超大国アメリカが同時多発テロに見舞われ、ほとんどの国が経済不況に陥っているなか、中国だけが8年連続でGNPを8%以上増加させ、APECの上海開催、WTO加盟、2008年の北京オリンピックなど元気ぶりが目立ちます。
駐在されている方々も、中国への出張や転勤が増えています。また、長年滞在していても、マンダリンができないために不自由を感じておられる方が大勢おられます。この連載を通じて、ぜひマンダリンに親しんでください。