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まんだりん 面白話

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2007年 1月

第六十一話
大卒初任給と中流階層

今回はいくつかの調査データを使って中国の大卒初任給と中流階層の話を少ししてみます。


上海の初任給が一位

 最近、中国のあるネット会社が3216人を対象に大卒初任給調査を行いました。その結果、05年の年収は平均約3万5千元(52万円、以下日本円だけで示す)だったが、04年より38%減少したそうです。地域別でみると、上海がもっとも高く、年収592千円、それに続いて北京は58万円。深ロレは3番目で54万7千円、その次は広州で53万1千円と続きます。
 前年度に比べて、下落幅が大きかったのは、不動産関係(20%)と、医療製薬業(163%)でした。IT関係は相変わらず好調で、82%の増加、平均初任給は61万9千円でした。
 また、国内企業に比べて外資系企業の給料が1520%高いことが分かりました。公務員や国営企業は私企業と比べた時、見かけの所得(固定給料)は低いように見えるが、福祉などの手当てとボーナスが多いため、実際の待遇が私企業よりいいと言われ、近年、公務員志望の大卒生が増えたそうです。

初任給が下げ止まり

 もう一つの調査専門会社が全国18都市で、インターネットを通じて行った調査ではこの夏に就職した大卒生の初任給に下げ止まりの兆しが見え始めたと発表しました。急速成長する経済の規模に対応し、高度な技能を持つ人材を育成するために、中国は1999年から大学を増設したり、入学枠を大幅に拡大したりしてきました。その結果、近年、大卒生の急増が就職難をもたらし、初任給も低迷し、社会問題にまでなっていました。今度の調査では月額約1万5千円以下の比率は昨年の191%から106に減り、月額1万5千円~3万円が全体の48%を占めることが明らかになりました。

中流階層の収入

 最後に中国国情研究会はこの9月に北京、上海、深ロレなど47都市で旅行、自動車、ブランド、個人財テクについて行った市民意識調査で「新中流階層」の定義指標を明らかにしました。家庭収入月額が2000元(3万円)以上を「中流」としていますが、実際に北京・上海のような大都市の回答者の7割がすでに4000元以上となっています。6割の「中流階層」の人が大卒で、ホワイトカラーの仕事に従事し、旅行などのレジャーは生活に欠かせないことと認識しているが、7割強の人は大型連休を避けて、会社の年休を利用して旅行すると答えています。

 ある学者は「いま中国の中流階層人口はまだ10%台にしか達していないが、4割になったら、政治や経済が相対的に安定する」と言っています。



中国語とマンダリン

 中国は国土が960万平方キロ、日本の約26倍の広さで、ヨーロッパがすっぽり入る面積です。したがって、地方ごとに「方言」があり、その発音はまったく違います。ヨーロッパでドイツ語とイタリア語が違うように、たとえば北京の人と上海の人とでは、通訳がないと会話が成り立ちません。
そこで、コミュニケーション用の共通語が必要になります。こうして定められた言葉が「マンダリン」です。大陸では「普通語」といい、「普」遍的に「通」用するという意味です。
したがって、「マンダリン」あるいは「普通語」は、中国人および華人の共通言語で、外国人からは「標準中国語」と呼ばれています。

葛珠慧(ガー・チュイフィー)先生

星日外国語学院院長、シンガポール大学(NUS)・南洋理工大学(NTU)日本語非常勤講師。元CCTV(中国国家テレビ局)国際部キャスター


長年シンガポール大学の日本語講師を務められている葛先生は、上海のご出身(現在はシンガポール国籍を取得されています)。ご主人ともども日本留学経験のある親日家です。
超大国アメリカが同時多発テロに見舞われ、ほとんどの国が経済不況に陥っているなか、中国だけが8年連続でGNPを8%以上増加させ、APECの上海開催、WTO加盟、2008年の北京オリンピックなど元気ぶりが目立ちます。
駐在されている方々も、中国への出張や転勤が増えています。また、長年滞在していても、マンダリンができないために不自由を感じておられる方が大勢おられます。この連載を通じて、ぜひマンダリンに親しんでください。