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まんだりん 面白話

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2006年 6月

第五十五話
中秋節

日本ではよく「中秋の名月」と言われますが、中国では陰暦8月15日のことを「中秋節」と呼びます。

 旧暦のことですから、春節と同じように新暦で当てはめると毎年日付が変わります。
例えば去年の中秋節は9月18日だったのが、今年は10月6日です。大体、9月か10月にあって秋の真ん中に当たります。昔から満月を愛でるのがアジアの風習になっているようです。

月が丸いことと家族団欒、円満をかけ、この日は休日ではなくても、遠方から家族が集まって一緒に夜を過ごすことが多いです。シンガポールでも毎年、公園での月見会やランタンフェスティバルが行われます。

 中国の各地民俗によっては、その日に芋、豆、団子などを備えるのですが、近年、都会では「月餅」がそれらに取って代わって、もっぱら月餅だけを食べるようになってしまっています。

 この季節になると、日本のお中元のように、親しい人やお世話になっている人などに月餅を贈り合うことも新しい風習になっています。ここ数年は高級志向がエスカレートして、豪華な月餅ギフトがよく売れるようになる一方、18万元(240万円)「純金付き月餅」、31万元(約420万円)の「住宅付き月餅」まで登場し、月餅商戦が賄賂に利用され、汚職の原因になっているとの指摘もあって、政府が規制に乗り出しました。

 子供のとき、里芋に白い砂糖をつけて枝豆と一緒に食べながら、澄んだ空に昇る名月を上海のビルの合間から見た記憶が急によみがえり、懐かしくなりました。



中国語とマンダリン

 中国は国土が960万平方キロ、日本の約26倍の広さで、ヨーロッパがすっぽり入る面積です。したがって、地方ごとに「方言」があり、その発音はまったく違います。ヨーロッパでドイツ語とイタリア語が違うように、たとえば北京の人と上海の人とでは、通訳がないと会話が成り立ちません。
そこで、コミュニケーション用の共通語が必要になります。こうして定められた言葉が「マンダリン」です。大陸では「普通語」といい、「普」遍的に「通」用するという意味です。
したがって、「マンダリン」あるいは「普通語」は、中国人および華人の共通言語で、外国人からは「標準中国語」と呼ばれています。

葛珠慧(ガー・チュイフィー)先生

星日外国語学院院長、シンガポール大学(NUS)・南洋理工大学(NTU)日本語非常勤講師。元CCTV(中国国家テレビ局)国際部キャスター


長年シンガポール大学の日本語講師を務められている葛先生は、上海のご出身(現在はシンガポール国籍を取得されています)。ご主人ともども日本留学経験のある親日家です。
超大国アメリカが同時多発テロに見舞われ、ほとんどの国が経済不況に陥っているなか、中国だけが8年連続でGNPを8%以上増加させ、APECの上海開催、WTO加盟、2008年の北京オリンピックなど元気ぶりが目立ちます。
駐在されている方々も、中国への出張や転勤が増えています。また、長年滞在していても、マンダリンができないために不自由を感じておられる方が大勢おられます。この連載を通じて、ぜひマンダリンに親しんでください。


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