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まんだりん 面白話

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2006年 3月

第五十二話
流行語と新語

ことばは人間社会と共存共栄する生き物です。 新しい社会事象を反映する中国の流行語も新語も 雨後の筍のように現れています。 今回はよく使われている新語をご紹介します。

跳槽 tiao cao

「槽」のもともとの意味は、草などの飼料を入れる、木で作った「かいば桶」のことです。「跳」は日本語とほとんど同じで「とぶ」という意味。二文字を組み合わせたら、「馬が空になったかいば桶を飛び越えて、別の馬のかいば桶の所に行く」という意味になり、現在「くら替え」のことを喩えに使います。
 人間も動物と同じで、美味しそうな、よその「かいば」ではなくて、「職場」に行きたがるものです。そういえば、日系企業の経営者や管理者を悩ますシンガポール人の「ジョブホッピング」は有名ですが、中国でも「セュウ」フイロ」が常に見られます。


跳楼价 tiao lou jia

 文字だけで推測すると「高い建物から飛び降りる値段」となりますが、よく分からないでしょう。実はこの「跳楼」は「高いビルから飛び降りて死ぬ」こと、つまり飛び降り自殺です。このことばはなにかを売ろうとする売人が「この値段はすでに飛び降り自殺したいほど、やむを得ない最低価格」という意味で使います。どんな商品についても叩き売りをする時に使える殺し文句のひとつとなっています。
 日本語には「大出血サービス」ということばがありますが、中国のセールスマンはさらに一歩進んで商売に命まで賭けているという表現を使います。しかし、どっちもどっちで、買う人は安易にそんな手口に騙されないでしょう。このことばを始めて見た時、今の中国不動産バブルのことだと誤解しそうになりました。



扎* zha pi   *=口辺に卑

 「扎」はもともと「さす」という意味ですが、ここでは英語のJarの音訳語として使います。「」もBeerの音訳で「酒」のこと、つまりビールです。Jar‐Beerは華製英語で「生ビール」のことです。上海をはじめ、南方系の中国人は日本語の影響か「生」や「鮮」と言います。日本人は生ビールを飲む時、わざわざ泡を作って飲みますが、中国人はあまりビールを冷しません。これも文化の違いと言えるでしょうか。シンガポールでも中国でも基本的には瓶ビールが多く飲まれているようですが、最近「扎」の美味さは評価されはじめ、消費量がうなぎ登りだそうです



中国語とマンダリン

 中国は国土が960万平方キロ、日本の約26倍の広さで、ヨーロッパがすっぽり入る面積です。したがって、地方ごとに「方言」があり、その発音はまったく違います。ヨーロッパでドイツ語とイタリア語が違うように、たとえば北京の人と上海の人とでは、通訳がないと会話が成り立ちません。
そこで、コミュニケーション用の共通語が必要になります。こうして定められた言葉が「マンダリン」です。大陸では「普通語」といい、「普」遍的に「通」用するという意味です。
したがって、「マンダリン」あるいは「普通語」は、中国人および華人の共通言語で、外国人からは「標準中国語」と呼ばれています。

葛珠慧(ガー・チュイフィー)先生

星日外国語学院院長、シンガポール大学(NUS)・南洋理工大学(NTU)日本語非常勤講師。元CCTV(中国国家テレビ局)国際部キャスター


長年シンガポール大学の日本語講師を務められている葛先生は、上海のご出身(現在はシンガポール国籍を取得されています)。ご主人ともども日本留学経験のある親日家です。
超大国アメリカが同時多発テロに見舞われ、ほとんどの国が経済不況に陥っているなか、中国だけが8年連続でGNPを8%以上増加させ、APECの上海開催、WTO加盟、2008年の北京オリンピックなど元気ぶりが目立ちます。
駐在されている方々も、中国への出張や転勤が増えています。また、長年滞在していても、マンダリンができないために不自由を感じておられる方が大勢おられます。この連載を通じて、ぜひマンダリンに親しんでください。


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