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まんだりん 面白話

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2006年 2月

第五十一話
中国の四大名著 (2)

12月に続き、中国四大名著を紹介。 今回は「西遊記」と「紅楼夢」です。


西遊記
 1570年頃にできた口語小説ですが、四大名著の中で最も奇特な作品だと思います。他の三作と違ってこの作品はいわゆる中国の御伽草子で、中の主人公もストーリも実在のものと非現実なものとが入り混じった奇想天外な物語で、読む人に空想的、童話的な世界を展開してくれます。
主な構成は・孫悟空の生い立ち、・玄奘三蔵法師の生い立ち、・唐太宗の地獄めぐり、・西天取経の旅です。主な登場人物を紹介しましょう。

玄奘三蔵法師●有徳の僧、唐太宗の勅命で西土へ求経の旅に立ちます。慈悲の心が深い人で、その肉をひときれでも食べれば長生きできるとされ、求経の道ではいつも妖怪たちに狙われます。
孫悟空●この物語の主人公。重さ一万三千五百斤の如意金箍棒を振り回し、妖魔を打ち倒し、三蔵法師を助けます。八万四千本の体毛が意のままに小猿などに化けられる、一度とんぼ返りを打つと十万八千里も飛べるなどが特技です。
猪八戒●黒い顔にぼうぼうの髭、突き出た鼻が特徴。孫悟空にかなわず、三蔵法師の第2の弟子となります。九つの歯がついたまぐわをもっていて妖怪に立ち向かいます。また、大食漢で、女狂いでもあります。
沙悟浄●沙和尚とも言います。根っからのキマジメさと腕を買って、三蔵法師がスカウト。いつもダジャレをいう悟空と八戒のお目付け役です。
 物語の最後は一行が真経五千四十八巻を手にし、九九・八十一の難をまっとうして成仏します。


紅楼夢
 1791年出版した貴族家庭を背景に繰り広げられた美貌の公子の悲恋物語です。賈宝玉は勉学が嫌いで、豪邸に同居する女の子たちと一緒に遊ぶのが大好き。「女の子は水でできた清らかなモノ、男なんて泥でできた汚物だい!」というのが彼の持論です。
 小説は彼と美少女たちとの交情を克明に記しながら進行します。賈宝玉は趣味の合う美少女、林黛玉と相思相愛の関係となりますが、お互いに心がうまく伝えられません。繊細でプライドの高いヒロイン、林黛玉に惹かれながらも、ささいな嫉妬から大喧嘩をし、結局は彼は温和な良妻賢母型の薛宝釵と結婚します。この三角関係を軸に小説は展開。やがて病弱な林黛玉は恨みを抱いて死に、一方、賈家は民衆を苦しめた罪で家産を没収され人々は離散していきます。
 この小説のもう一つの特徴は、当時の上流階級の男性235人と女性213人の日常生活の細部まで描きこまれていることです。ある日本の評論家はこの中国小説史上最大傑作の一つとして。「甘美この上ない一大ロマンの裏側には作者の熱い血と涙がこめられ、夢と現実を妖しく綯い混ぜた物語」と評しています。



中国語とマンダリン

 中国は国土が960万平方キロ、日本の約26倍の広さで、ヨーロッパがすっぽり入る面積です。したがって、地方ごとに「方言」があり、その発音はまったく違います。ヨーロッパでドイツ語とイタリア語が違うように、たとえば北京の人と上海の人とでは、通訳がないと会話が成り立ちません。
そこで、コミュニケーション用の共通語が必要になります。こうして定められた言葉が「マンダリン」です。大陸では「普通語」といい、「普」遍的に「通」用するという意味です。
したがって、「マンダリン」あるいは「普通語」は、中国人および華人の共通言語で、外国人からは「標準中国語」と呼ばれています。

葛珠慧(ガー・チュイフィー)先生

星日外国語学院院長、シンガポール大学(NUS)・南洋理工大学(NTU)日本語非常勤講師。元CCTV(中国国家テレビ局)国際部キャスター


長年シンガポール大学の日本語講師を務められている葛先生は、上海のご出身(現在はシンガポール国籍を取得されています)。ご主人ともども日本留学経験のある親日家です。
超大国アメリカが同時多発テロに見舞われ、ほとんどの国が経済不況に陥っているなか、中国だけが8年連続でGNPを8%以上増加させ、APECの上海開催、WTO加盟、2008年の北京オリンピックなど元気ぶりが目立ちます。
駐在されている方々も、中国への出張や転勤が増えています。また、長年滞在していても、マンダリンができないために不自由を感じておられる方が大勢おられます。この連載を通じて、ぜひマンダリンに親しんでください。


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