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まんだりん 面白話

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2005年 5月

第四十二話
中国と日本の贈り物についての違い

今月は私自分の経験から中国人と日本人の贈り物の習慣の違いについてお話しします。

日本人も中国人も昔から贈り物の習慣があります。日本の「お中元」と「お歳暮」は代表的なものです。中国にはお中元のような習慣はありませんが、お歳暮の代わりに新年(旧正月)の年始まわりに必ず手土産を持っていきます。
もちろん、日本のようにデパートなどに頼んで贈り物を宅配するようなことはしません。ちなみに、シンガポールでは「中元」という行事はありますが、「お中元」に贈り物をする習慣はありません。

 日本人は引越をした後、旅行から帰ってきた時、「これからよろしく」「自分の喜びを分かち合ってもらう」という意味でお土産を近所の人や同僚に贈ります。この習慣も中国人にはあまりないのです。
中国人はお祝いなどの時に贈り物をします。ただ、私を一番悩ますのは「見面礼 (jian mian li) 」のような贈り物の習慣。例えば一年ぶりに中国へ帰省する場合、親戚友人たちと会う時にお土産を用意します。用意するのは簡単ですが、難しいのは贈り物の値段基準です。日本ではこういう場合、「ちょっとした甘いもの」「どこかの特産品」など、夕食代で買えるくらいでいいわけですが、中国ではそうはいきません。

贈り物の値段は気持ちの重さと連動して考えられてしまうのです。高いほど「友情が深い」と見られるのです。食事代分の贈り物をもらった人は、自分は大事にされていないと誤解してしまいます。そこで最近、「贈り物するなら高価なもの、さもなければ、いっそのことしないほうがいい」という考え方が広まりつつあります。

 なぜそうなったのでしょうか。日本人の贈り物の習慣は、基本的に気持ちを表し、相手には負担、不安をかけないことが暗黙の約束です。ところが、中国は例えば10数年前の結婚披露宴のお祝いには月給分の金額だったし、いま海外から帰った人のプレゼントの相場は(私が見た平均標準)月給の3割分。もちろんもらった人は「いずれ色々な形でお返しします」と思っているため負担にもなります。

 中国で賄賂が日本よりずっと盛んになっているのも、贈り物に対する考え方の違いと関係があるのではないかと思います。贈る人は返してもらうために贈り、もらった人は「なにかしてあげなければならない」という図式になっているからです。
 シンガポールの華人社会では、みかん二つで年始回りができます。なんと幸せなことでしょう。


中国語とマンダリン

 中国は国土が960万平方キロ、日本の約26倍の広さで、ヨーロッパがすっぽり入る面積です。したがって、地方ごとに「方言」があり、その発音はまったく違います。ヨーロッパでドイツ語とイタリア語が違うように、たとえば北京の人と上海の人とでは、通訳がないと会話が成り立ちません。
そこで、コミュニケーション用の共通語が必要になります。こうして定められた言葉が「マンダリン」です。大陸では「普通語」といい、「普」遍的に「通」用するという意味です。
したがって、「マンダリン」あるいは「普通語」は、中国人および華人の共通言語で、外国人からは「標準中国語」と呼ばれています。

葛珠慧(ガー・チュイフィー)先生

星日外国語学院院長、シンガポール大学(NUS)・南洋理工大学(NTU)日本語非常勤講師。元CCTV(中国国家テレビ局)国際部キャスター


長年シンガポール大学の日本語講師を務められている葛先生は、上海のご出身(現在はシンガポール国籍を取得されています)。ご主人ともども日本留学経験のある親日家です。
超大国アメリカが同時多発テロに見舞われ、ほとんどの国が経済不況に陥っているなか、中国だけが8年連続でGNPを8%以上増加させ、APECの上海開催、WTO加盟、2008年の北京オリンピックなど元気ぶりが目立ちます。
駐在されている方々も、中国への出張や転勤が増えています。また、長年滞在していても、マンダリンができないために不自由を感じておられる方が大勢おられます。この連載を通じて、ぜひマンダリンに親しんでください。


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