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まんだりん 面白話

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2004年3月

流行っているしゃれ言葉(一) 第二八話

最近中国の新聞や雑誌でよく「歇後語」(中国語のしゃれ言葉の一種で、いいたいことを剥き出しに言わずに他の言葉で述べる表現方法。日本語の隠喩に近い技法)を見かけます。そのほとんどが最近の社会現象を風刺するものなので、今回は「最」がつくものを中心にいくつかを選んで中国語の表現形式と中国社会世相とを兼ねてご紹介します。
          
@最多的頭銜→(経理<ジンリ>)
訳:一番多い肩書き→社長

解説:「頭銜」は「肩書き」という意味。職名・地位身分を表します。「経理」は日本では会計のことですが、中国では経営者、社長のこと。自営業者が増え、また、部門の長も○○経理と言うから、猫も杓子も「経理」がつく名刺を持ち歩く現象を風刺しています。ちなみに職名をいう時、日本語は「肩」を使い、中国語は「頭」を使うというところも面白いですね。

A最貴的包裏→(紅包<ホンバオ>)、シンガポールでは「アンパオ」という)
訳:一番値打ちのある包み→ボーナス包み

解説:昔、経営者が新年の前に、奨励と祝賀の気持ちで従業員に賞与をあげる時、赤い紙で包んだので、この紅包はボーナスの代名詞になりました。この世には色々な「包」があるが、この「赤い包み」こそ、1年間汗を流した勤労者が一番待ち望んでいる、貴重な「包」なのです。

「歇後語」は二つの部分からなる成句で、前の部分は喩えで、後ろは解釈・説明です。言葉遊びをする時、クイズにもなるし、日本の落語の「考え落ち」に似たようなものもあります。前半の喩えの意味から推察させるものもあれば(例えば@)、同音語、つまり音でかける方法も良く使われます。Aでは「包」が前後両方にかかっています。

B最年軽的??→(二*<アルナイ>)  *左側に女右側に乃
訳:一番若いおばあさん→愛人

この直訳だけでは五里霧中、分からないと思いますが、もう少し説明を加えます。中国語の「?」はもともと「乳」と同意語で、「牛乳」は「牛?」、「乳牛」は「?牛」です。「?」がつく言葉は大体、雌・女性・乳房と関係があり、この「?」が二回もダブると、祖母になります。一方、最初は香港、広州辺りから、今では沿海地域のみならず、豊かになった地区全般にわたって既婚の男性が隠し女をもつようになりました。

これら女性のことを、最近「二?」ということばで表現するのが一般的になっています。正妻以外の女性を「二号」というのと、「乳」を組み合わせた新語だと思います。ここのシャレの面白さは「?」を二回繰り返したおばあさんの「?」に全然反対のイメージをもつ「二?」をオーバーラップして、それにまた「最年軽」という修飾語を付け加えるところです。意味の比喩、同音語、数詞の使用など「歇後語」の全ての機能を生かした、最上級のシャレ言葉と評価したいです。


「中国語を楽しむ会」
私たちJSU外国語学院の中国語コースは、この華語普及と中国語ブームの中で生まれ、おかげさまで大勢の在星日本人の方々が本場の中国標準語を学ぶために参加されています。
これに感謝するとともに、もっと皆さんに中国語に親しんでいただくため、11月22日に ホテルニューオータニで「中国語を楽しむ会」を開催します。
講師には中国から、北京言語文化大学中国語教授の方々をお招きし、主賓に槇田邦彦在シンガポール日本国大使のご出席を仰ぎます。槇田大使は中国語学習に関するスピーチを中国語でしてくださることになっています。在籍中の受講者の中国語による体験発表もございます。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。



中国語とマンダリン

 中国は国土が960万平方キロ、日本の約26倍の広さで、ヨーロッパがすっぽり入る面積です。したがって、地方ごとに「方言」があり、その発音はまったく違います。ヨーロッパでドイツ語とイタリア語が違うように、たとえば北京の人と上海の人とでは、通訳がないと会話が成り立ちません。
そこで、コミュニケーション用の共通語が必要になります。こうして定められた言葉が「マンダリン」です。大陸では「普通語」といい、「普」遍的に「通」用するという意味です。
したがって、「マンダリン」あるいは「普通語」は、中国人および華人の共通言語で、外国人からは「標準中国語」と呼ばれています。

葛珠慧(ガー・チュイフィー)先生

星日外国語学院院長、シンガポール大学(NUS)・南洋理工大学(NTU)日本語非常勤講師。元CCTV(中国国家テレビ局)国際部キャスター


長年シンガポール大学の日本語講師を務められている葛先生は、上海のご出身(現在はシンガポール国籍を取得されています)。ご主人ともども日本留学経験のある親日家です。
超大国アメリカが同時多発テロに見舞われ、ほとんどの国が経済不況に陥っているなか、中国だけが8年連続でGNPを8%以上増加させ、APECの上海開催、WTO加盟、2008年の北京オリンピックなど元気ぶりが目立ちます。
駐在されている方々も、中国への出張や転勤が増えています。また、長年滞在していても、マンダリンができないために不自由を感じておられる方が大勢おられます。この連載を通じて、ぜひマンダリンに親しんでください。


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