まんだりん 面白話 |
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2003年10月
華人いろいろ 第二三話
シンガポーリアンは初対面の相手の顔を見て、名前を聞くだけで、その人の出身地が分かり、すぐそれなりの言葉を使います。
シンガポールの華人を大きく出身地域別に分けると、福建人、広東人、潮州人、客家人と海南人とがあります。
これらの人々にはそれぞれ特徴がありますので簡単にご紹介します。
福建人
まずこの中で最も多数(星州華人の半数以上)を占めているのが福建省出身の人たちです。19世紀初頭に中国から最初に移民してきたシンガポーリアンです。
福建人は、ざっくばらんに物事を言う性格の人が多いと言われています。ちなみに今の首相、呉作棟さんは福建人です。
食べ物は「虚」(見栄え)よりは「実」(味)を重視します。福建炒面はその代表作です。
昔、自転車や三輪車を商う人に福建人が多かったそうです。建築や農業にも熱心でした。だんだん成功者が増えてきて、彼らはシンガポール最大の同郷会館「福建会館」を作り、華人社会における経済・教育・福祉活動を積極的に行ってきました。また、「天福宮」という寺院もつくりました。名門校、南僑小学校、道南小学校、華僑中学校などはみんな福建会館によって創設されました。
福建人がもっとも多く住んでいたのは大土皮(da4
po1)(シンガポール川から南、チャイナタウン、シェントン・ウェーまで)と呼ばれる地域で、福建村というほどです。
広東人
次は広東人ですが、もとの大蔵大臣胡賜道さんが広東人です。広東人は食事の礼儀を重んじ、食べ物の味付けはあっさりしています。色、香りと味を考えながら料理をし、飲茶はその代表作です。
牛車水(チャイナタウン)の中心部に住まい、そちらに行くと、ほとんど広東語です。広東人のお得意なビジネスはレストラン経営です。食べることをもっとも大事にする人たちです。
潮州人
潮州はもともと広東省の北東部にありますから、潮州人の性格は広東人に似ています。
ただ、唐の時代に韓愈という大文学者がその地に住んだ影響か、潮州人の性格はどちらかというと文学的で、話していることばも軟らかくて丁寧です。刺繍とか細かい作業などが得意で、よく「嫁を貰うなら潮州から」と言われます。
客家人
客家人は一番勤勉な人たちです。李光耀さんが客家人です。「中国のジプシー」と言われ、もともと中国の北方から長い歴史の間にだんだん南に移住して来たのでとてもしっかりした性格の持ち主が多いそうです。お金を大事にする集団でもあります。
海南人
海南人は大きな目をしていて二重目蓋、ハンサムな男の人が多いです。また、もっとも奥さんを大事にするのが海南男です。ですから「ダンナ探しなら海南人」という定評があります。
海南人はパン屋や洋風っぽいレストランを多く経営する一方、日本人が大好きなチキンライスも海南人のお得意料理の一つです。
中国語とマンダリン
中国は国土が960万平方キロ、日本の約26倍の広さで、ヨーロッパがすっぽり入る面積です。したがって、地方ごとに「方言」があり、その発音はまったく違います。ヨーロッパでドイツ語とイタリア語が違うように、たとえば北京の人と上海の人とでは、通訳がないと会話が成り立ちません。
そこで、コミュニケーション用の共通語が必要になります。こうして定められた言葉が「マンダリン」です。大陸では「普通語」といい、「普」遍的に「通」用するという意味です。
したがって、「マンダリン」あるいは「普通語」は、中国人および華人の共通言語で、外国人からは「標準中国語」と呼ばれています。
葛珠慧(ガー・チュイフィー)先生
星日外国語学院院長、シンガポール大学(NUS)・南洋理工大学(NTU)日本語非常勤講師。元CCTV(中国国家テレビ局)国際部キャスター
長年シンガポール大学の日本語講師を務められている葛先生は、上海のご出身(現在はシンガポール国籍を取得されています)。ご主人ともども日本留学経験のある親日家です。
超大国アメリカが同時多発テロに見舞われ、ほとんどの国が経済不況に陥っているなか、中国だけが8年連続でGNPを8%以上増加させ、APECの上海開催、WTO加盟、2008年の北京オリンピックなど元気ぶりが目立ちます。
駐在されている方々も、中国への出張や転勤が増えています。また、長年滞在していても、マンダリンができないために不自由を感じておられる方が大勢おられます。この連載を通じて、ぜひマンダリンに親しんでください。
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