まんだりん 面白話 |
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2003年7月
中国のお酒 第二十話
中国のお酒を大きく分けると、蒸留酒と醸造酒の2種類があります。中国のほとんどの地域で蒸留酒が好まれますが、紹興酒が代表する醸造酒は揚子江下流、いわゆる江南地域の人々に愛飲されています。
「白酒」
【ba2 jiu3】
■ 蒸留酒類
蒸留酒類は中国では普通一括して「白酒」(ba2
jiu3)とよばれ、代表的な銘柄には次のようなものがあります。
二鍋頭:中国東北地方産のコーリャンを原料に、2度蒸留させるところからその名がついたお酒です。強烈な味と香りが人気。北京で一番人気が高いスピリッツです。
茅台酒:30年前に田中元首相訪中の際、中国側主催の国賓晩餐会で供されて一躍有名になった酒です。ちょっとクセがあり、贋物が多いせいもあって中国人の間では現在、あまり評価されていません。
そのほかに有名なのは汾酒、古井貢酒などです。各地方にそれぞれ歴史がある「地酒」がありますが、最近贈呈品としてよく登場するのは「酒鬼」と「五粮液」です。
これらの「白酒」はみんなアルコールの度数が50度以上(60度以上のものもある)で、火をつけると青白い炎を上げて燃えるほどです。しかし中国人は水で割らないで、ストレートで飲みます。
「紹興酒」
【shao 4 xing 1 jiu 3】
■ 醸造酒類
醸造酒の代表は「紹興酒」です。この、水ともち米を使って仕込んだ醸造酒は主に上海の近くの紹興地方で作られたため紹興酒と呼ばれます。「老酒」や「黄酒」という別名も持っています。長い年月をかけて醸造したから「老」いた「酒」と呼ばれ、お醤油みたいな色をしていますが、中国では「黄色」が尊ばれるので「黄酒」という名が付けられたのでしょう。
紹興酒には2つ有名な銘柄があります。
「女児紅」(nu3 er2 hong2)。昔、紹興の周辺では女の子が産まれると、紹興酒をかめや壺に入れて地下に埋め、その子が嫁ぐまで寝かせた後、結婚式にはじめて開封して祝いました。
もう一つは「花彫」(hua2 diao1)で、仕込んだ酒が入った壺のまわりにきれいな花鳥風月や仙人を彫ってあるためこの名ができました。
度数があまり高くない紹興酒は中国では「白酒」ほど広く飲まれていません。しかし、私はあえて紹興酒を、中国を代表する酒と言いたいのです。世界の有名な料理にあう酒はみんな10度程度の醸造酒です。例えばフランス料理にはワイン、日本料理には清酒。そして中華料理にはやっぱり紹興酒が最適だと思います。
本場の紹興では夏でもお燗して飲みます。だから日本で初めて氷砂糖を入れて飲むのを見た時には驚きました。しかし台湾では、乾燥させた梅干しや生姜を下ろして入れたり、レモン割り、砂糖を加
えたりする飲み方もするようです。ちなみにシンガポールでは紹興酒は「しょっぱい」と言われ、主に料理酒として使われます。
次回はたばこのお話です。
中国語とマンダリン
中国は国土が960万平方キロ、日本の約26倍の広さで、ヨーロッパがすっぽり入る面積です。したがって、地方ごとに「方言」があり、その発音はまったく違います。ヨーロッパでドイツ語とイタリア語が違うように、たとえば北京の人と上海の人とでは、通訳がないと会話が成り立ちません。
そこで、コミュニケーション用の共通語が必要になります。こうして定められた言葉が「マンダリン」です。大陸では「普通語」といい、「普」遍的に「通」用するという意味です。
したがって、「マンダリン」あるいは「普通語」は、中国人および華人の共通言語で、外国人からは「標準中国語」と呼ばれています。
葛珠慧(ガー・チュイフィー)先生
星日外国語学院院長、シンガポール大学(NUS)・南洋理工大学(NTU)日本語非常勤講師。元CCTV(中国国家テレビ局)国際部キャスター
長年シンガポール大学の日本語講師を務められている葛先生は、上海のご出身(現在はシンガポール国籍を取得されています)。ご主人ともども日本留学経験のある親日家です。
超大国アメリカが同時多発テロに見舞われ、ほとんどの国が経済不況に陥っているなか、中国だけが8年連続でGNPを8%以上増加させ、APECの上海開催、WTO加盟、2008年の北京オリンピックなど元気ぶりが目立ちます。
駐在されている方々も、中国への出張や転勤が増えています。また、長年滞在していても、マンダリンができないために不自由を感じておられる方が大勢おられます。この連載を通じて、ぜひマンダリンに親しんでください。
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