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まんだりん 面白話

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2003年5月

食物の性 第十八話


 JSUの生徒から、「シンガポーリアンが『これを食べちゃいけない、あれもだめだ』といいます。どうしていけないか、そしてどうしたらいいか、教えてください」とよく質問されます。
 「炎天下なのに、冷たいものを飲まないで、熱いお茶を飲むシンガポーリアンがいますが、どうしてですか」と不思議がる生徒もいます。

陰【yin 1】いん
陽【yang 2】■よう


 中国には「陰陽五行」という思想があります。世の中のすべてのものがこの法則にしたがって活動しているという考え方です。たとえば食べ物。食べ物には体を温めたり冷やしたりする作用があり、これを「性」と呼びます。その強弱によって「温性」「熱性」「寒性」「涼性」「平性」の五つに分けます。一般の人々はまたそれらを大きく「=yin1」と「=yang2」の2種類に区別して日常生活に使います。

榴*【liu 2 lian 2】 ドリアン  は木辺に連
蜜柑【mi 4 kan 1】 ■ミカン


 陰性のものは必ずしも冷たい物ではありません。逆に陽性のものも熱いものとは限りません。果物を例にとると、西瓜、バナナ、マンゴスティン、メロンなどは陰性に属します。反対に陽性のものは榴*=liu2 lian2(ドリアン)、蜜柑=mi4 kan1(蜜柑)、ライチ、パイナップル、葡萄、マンゴなどです。
 シンガポーリアンはよく「涼茶」を飲みます。これは「冷たいお茶」ではなくて、「涼性=陰性」の成分を含んだ植物(例えば菊の花や桑の葉など)の茶のことで、沸かして飲みます。
 人間の体は「陰」と「陽」のバランスによって健康を保っています。ですから「陰」の食べ物をたくさん食べると、冷え症とか、婦人病、免疫力低下などにつながり、「陽」の物を食べすぎると、咳がでる、汗がでやすい、落ち着かない、いらいらするなどの症状がでてきます。
 じゃ、「陰」でも「陽」でもない「中性」のものはあるのでしょうか? あります。どっちにも偏らない「平性」の果物もいっぱいあります。例えば青・赤林檎、オレンジ、苺などです。

「陰」と「陽」の物をミックスして煮込んで作ったスープ
 中国人は「陰」と「陽」の物をミックスして煮込んで作ったスープがとても栄養ある物だと信じています。
青いパパイヤと鶏肉を、2〜3時間かけて形がなくなるまで煮込むと、とても美味しくて、栄養たっぷりの食べ物になります。


中国語とマンダリン

 中国は国土が960万平方キロ、日本の約26倍の広さで、ヨーロッパがすっぽり入る面積です。したがって、地方ごとに「方言」があり、その発音はまったく違います。ヨーロッパでドイツ語とイタリア語が違うように、たとえば北京の人と上海の人とでは、通訳がないと会話が成り立ちません。
そこで、コミュニケーション用の共通語が必要になります。こうして定められた言葉が「マンダリン」です。大陸では「普通語」といい、「普」遍的に「通」用するという意味です。
したがって、「マンダリン」あるいは「普通語」は、中国人および華人の共通言語で、外国人からは「標準中国語」と呼ばれています。

葛珠慧(ガー・チュイフィー)先生

星日外国語学院院長、シンガポール大学(NUS)・南洋理工大学(NTU)日本語非常勤講師。元CCTV(中国国家テレビ局)国際部キャスター


長年シンガポール大学の日本語講師を務められている葛先生は、上海のご出身(現在はシンガポール国籍を取得されています)。ご主人ともども日本留学経験のある親日家です。
超大国アメリカが同時多発テロに見舞われ、ほとんどの国が経済不況に陥っているなか、中国だけが8年連続でGNPを8%以上増加させ、APECの上海開催、WTO加盟、2008年の北京オリンピックなど元気ぶりが目立ちます。
駐在されている方々も、中国への出張や転勤が増えています。また、長年滞在していても、マンダリンができないために不自由を感じておられる方が大勢おられます。この連載を通じて、ぜひマンダリンに親しんでください。


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