まんだりん 面白話 |
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2003年3月
羊年 第十六話
羊年
今年は旧暦では未年、つまり羊の年です。「羊」を使う「美」、「善」「祥」などの漢字には「美しい」、「めでたい」といういい意味が含まれています。「群」という字にも「羊」が使われ、性格が温順で集まって仲良く暮らす羊のイメージが鮮明です。
この「鮮明」の「鮮」には「美しい」、「あざやか」の意味以外に「鮮少」つまり「珍しい、美味しい」という意味もあります。昔は交通が不便で、中国西北地区は新鮮な魚がなく、一方、東南の沿海地区では羊はあまり食べられなかったので、この二つを並べれば、珍しく、美味しい味になると考えたのでしょう。
三羊開泰
旧正月中、壁や門に貼る「春聯」で『三羊開泰』(san1
yang2 kai1 tai4)という熟語を見かけませんでしたか? 実はこの「羊」は本来「陽」と記さなければなりません。漢語の「羊」と「陽」はいずれも(yang2)と発音し、同音同調です。昔の人は縁起担ぎが好きだったからもともと「三陽開泰」の「陽」を同じ発音で、吉祥を表す「羊」に置き換え、「三羊開泰」と記しました。
「三陽開泰」はもともと気象学から生まれた言葉です。24節季の一つである旧暦の11月冬至の日は正午の太陽の高度が一年中で最も低く、また、昼が最も短い一日です。この冬至の日を過ぎると、徐々に日が長くなり始めます。
古人は冬至の日から「陰の気」が次第に去り、「陽の気」がだんだん生じてくると考えていました。だから、冬至の日に「一陽」が生じ、旧暦12月には「二陽」が生じ、正月には「三陽」が生じて「開泰する」(万物が通じる)と言われるのです。
「三陽開泰」とは、春が巡って来て、万物の生気が満ち溢れるという意味で、「三羊開泰」を絵に描くと、陽光を浴びている3頭の羊の吉祥図案となります。ちなみに「三陽開泰」は《易経》では「冬去春来」と説明してあります。
丙午運勢
日本でも丙午(ひのえうま)と言いますが、昔の中国では羊年に生まれる女子が好まれませんでした。羊年に生まれる女性は気が強く、男を蹴っ飛ばす性格の持ち主が多いという迷信からです。
そのため、新年の前に一部の地方の病院の産婦人科の受付に妊婦が列を作る風景が見られました。昨年12月に誕生した新生児が例年平均より倍以上だという産婦人科がたくさんあったと報道されています。
一方、「羊年生まれの子供が少ないため、進学や就業などは馬年ほど厳しくなく、のんびり育てられるじゃないか」と冷静な若い夫婦も少なくないとのこと。
中国語とマンダリン
中国は国土が960万平方キロ、日本の約26倍の広さで、ヨーロッパがすっぽり入る面積です。したがって、地方ごとに「方言」があり、その発音はまったく違います。ヨーロッパでドイツ語とイタリア語が違うように、たとえば北京の人と上海の人とでは、通訳がないと会話が成り立ちません。
そこで、コミュニケーション用の共通語が必要になります。こうして定められた言葉が「マンダリン」です。大陸では「普通語」といい、「普」遍的に「通」用するという意味です。
したがって、「マンダリン」あるいは「普通語」は、中国人および華人の共通言語で、外国人からは「標準中国語」と呼ばれています。
葛珠慧(ガー・チュイフィー)先生
星日外国語学院院長、シンガポール大学(NUS)・南洋理工大学(NTU)日本語非常勤講師。元CCTV(中国国家テレビ局)国際部キャスター
長年シンガポール大学の日本語講師を務められている葛先生は、上海のご出身(現在はシンガポール国籍を取得されています)。ご主人ともども日本留学経験のある親日家です。
超大国アメリカが同時多発テロに見舞われ、ほとんどの国が経済不況に陥っているなか、中国だけが8年連続でGNPを8%以上増加させ、APECの上海開催、WTO加盟、2008年の北京オリンピックなど元気ぶりが目立ちます。
駐在されている方々も、中国への出張や転勤が増えています。また、長年滞在していても、マンダリンができないために不自由を感じておられる方が大勢おられます。この連載を通じて、ぜひマンダリンに親しんでください。
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