まんだりん 面白話 |
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2003年2月
春節(旧正月) 第十五話
春節(旧正月)
1911年の辛亥革命後、中国は新暦、つまり太陽暦を使うようになりました。そこで1月1日を新年、旧暦の新年を春節と呼びます。漢民族だけではなく、多くの少数民族は今でもこの春節を一年中で最も大切な祭日としています。
「年越し」は中国語では「過年」(guo4 nian2)」といい、この旧正月のことを指すのが普通です。
今回は旧正月の行事について。
かまど祭り
昔から中国人は台所にはかまどを司る神様がいるとを信じてきました。この神様は毎年師走の23日に天に登って玉皇大帝にこの家の過去一年間の良し悪しを報告するとされ、悪いことをした人は寿命を縮められるそうです。
そこで人々はその日に台所に砂糖など甘いものをたくさん供え、このかまど神が甘いものをいっぱい食べて玉皇大帝に悪いことを隠し、いいことばかり報告するようにと祈願します。
お節料理
一年の中で一番豪華で美味しい料理は大晦日の夜に食べる「年夜飯」です。基本的には家族だけで食事をします。若い恋人が相手の家の「年夜飯」に呼ばれたら「家族の一員」として一歩進んだ関係と認められたことになります。
料理の内容は地方によって違いますが、北方地域は餃子、南方はおもちです。魚も欠かせません。「魚」(yu2)と「余」は同じ発音で「年年有余」、つまり「年年余りが有るように」という祈願につながるからです。
チュウエンリエン春 聯
中国の独特な文学形式の一つとして「トイリエン対
聯」(日本で言う掛け軸)があって人々から好まれてきました。字数も音節も品詞も同じ二つの文が対になる対句のことです。
2枚に書き分けて、家の入口や壁などに左右に分けて貼ります。春節に貼るものは「春聯」と言います。
現在、その風俗は簡素化されました。旧正月前から「福」の一文字を貼る家をシンガポールのいたるところでみかけます。しかもこの字をさかさに貼っています。もちろん間違えているのではありません。「倒」と「到」は同じ発音なので、「福」を逆さまに「倒」して「福」が「到来」するように祈願するという意味です。
年始回りとお年玉
年始回りの挨拶によく使われるのは「恭喜發財」(gong1
xi3 fa1 cai2)(意味:儲かるように)」。そして黄金色をした、大吉を意味する福桔をさしあげます(オレンジはだめです)。相手も同じように福桔を渡します。
だからシンガポールでの年始回りは簡単です。二つの福桔を持っていけば、いくら多くの家や会社を回っても、最後に福桔が二つ残ります。
子供たちは「恭喜發財」の次に「紅包拿来」(hong2
bao1 na2 lai2)(意味:お年玉頂戴)」と言います。 子供たちにあげる紅包は、$2からですが、その上は$4というふうに、奇数の金額は避けなければなりません。
マレー人にアンバオ(紅包の方言読み)をあげる場合には、袋の色を赤ではなく、グリーンにすると喜ばれます。金額も奇数の方が歓迎されます。そのせいでしょう、シンガポールの紙幣の色は$2と$10は赤で、$5はグリーンです。
アンバオの対象となる人は子供だけではなく、お世話になったメイドさん、スクールバスの運転手、添乗員なども含みます。
ちなみにお年玉袋は銀行でもらえることもお忘れなく。
中国語とマンダリン
中国は国土が960万平方キロ、日本の約26倍の広さで、ヨーロッパがすっぽり入る面積です。したがって、地方ごとに「方言」があり、その発音はまったく違います。ヨーロッパでドイツ語とイタリア語が違うように、たとえば北京の人と上海の人とでは、通訳がないと会話が成り立ちません。
そこで、コミュニケーション用の共通語が必要になります。こうして定められた言葉が「マンダリン」です。大陸では「普通語」といい、「普」遍的に「通」用するという意味です。
したがって、「マンダリン」あるいは「普通語」は、中国人および華人の共通言語で、外国人からは「標準中国語」と呼ばれています。
葛珠慧(ガー・チュイフィー)先生
星日外国語学院院長、シンガポール大学(NUS)・南洋理工大学(NTU)日本語非常勤講師。元CCTV(中国国家テレビ局)国際部キャスター
長年シンガポール大学の日本語講師を務められている葛先生は、上海のご出身(現在はシンガポール国籍を取得されています)。ご主人ともども日本留学経験のある親日家です。
超大国アメリカが同時多発テロに見舞われ、ほとんどの国が経済不況に陥っているなか、中国だけが8年連続でGNPを8%以上増加させ、APECの上海開催、WTO加盟、2008年の北京オリンピックなど元気ぶりが目立ちます。
駐在されている方々も、中国への出張や転勤が増えています。また、長年滞在していても、マンダリンができないために不自由を感じておられる方が大勢おられます。この連載を通じて、ぜひマンダリンに親しんでください。
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