まんだりん 面白話 |
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2003年1月
シンダリン 第十四話
多くのシンガポール人がしゃべる英語は独特な発音と単語があるため「シングリシュ」と言われています。
一方、シンガポールの華人が使う中国語は、「華語」あるいは「マンダリン」と呼ばれています。方言や歴史の違いから特有の言葉もあります。
今月からは中国の共通語(マンダリン)と比べながら、私が勝手に名づけた「シンダリン」について話していきましょう。
中国漢民族の音楽のことを、香港では「中楽」(中国音楽の略)、シンガポールでは「華楽」(華人音楽)、中国本土では「民楽」(民族音楽)、台湾では「国楽」(国家音楽)とそれぞれ違った言い方で表現します。
こじつけではありますが、4語の頭文字をとって、「中・華・民・国」+「楽」となります。
同じ物事を表現しても、シンガポールの中国語と中国本土のそれとは違う言葉になってしまいます。
そこでいくつかの「シンダリン」を紹介します。それぞれ日本語の意味・中国の共通語・シンダリンの順になっています。
(1)自転車・自行車・脚車(jiao3 che1)。 自転車は足でペダルをこいで走るので「脚車」が理屈に合っています。
(2)幼稚園・幼児園・幼稚園(you4 zhi4 yuan2)。 日本語と同じですね。
(3)検討・討論・検討(jian3 tao3)。 シンダリンは日本語と同じ意味で使いますが、中国語の「検討」は「自己反省」の意味です。
(4)芸能人・演員・ 人 (yi4 ren2)。「 」は「芸」の略字ですからシンダリンは日本語に近いでしょう。意味も中国語の「演員」より広いです。
(5)乗客・乗客・搭客(ta1 ke4)。 シンダリンは方言の影響で別の漢字を使います。
(6)セメント・水泥・洋灰(yang2 hui1)。近代アジアの文明開化の際、欧米から多くの新しい事物を取り入れた時、その名前に「洋」をつけていました。シンガポールの中国語にはまだその名残があます。
西洋から来たセメントは「灰」のようなものだから「洋灰」と呼んだわけです。そのほかには「洋火」(マッチ)、「洋油」(灯油)、「洋傘」(かさ)などがあります。
西洋の話といえば、この小さな島のいたるところで「西洋人」を見かけますね。
中国人は西洋人を略して「洋人」と言いますが、ここでは「紅毛」(hong2
mao2)と言います。これも福建語の(ang moh)「アンモー」に由来するシンダリンです。
中国語とマンダリン
中国は国土が960万平方キロ、日本の約26倍の広さで、ヨーロッパがすっぽり入る面積です。したがって、地方ごとに「方言」があり、その発音はまったく違います。ヨーロッパでドイツ語とイタリア語が違うように、たとえば北京の人と上海の人とでは、通訳がないと会話が成り立ちません。
そこで、コミュニケーション用の共通語が必要になります。こうして定められた言葉が「マンダリン」です。大陸では「普通語」といい、「普」遍的に「通」用するという意味です。
したがって、「マンダリン」あるいは「普通語」は、中国人および華人の共通言語で、外国人からは「標準中国語」と呼ばれています。
葛珠慧(ガー・チュイフィー)先生
星日外国語学院院長、シンガポール大学(NUS)・南洋理工大学(NTU)日本語非常勤講師。元CCTV(中国国家テレビ局)国際部キャスター
長年シンガポール大学の日本語講師を務められている葛先生は、上海のご出身(現在はシンガポール国籍を取得されています)。ご主人ともども日本留学経験のある親日家です。
超大国アメリカが同時多発テロに見舞われ、ほとんどの国が経済不況に陥っているなか、中国だけが8年連続でGNPを8%以上増加させ、APECの上海開催、WTO加盟、2008年の北京オリンピックなど元気ぶりが目立ちます。
駐在されている方々も、中国への出張や転勤が増えています。また、長年滞在していても、マンダリンができないために不自由を感じておられる方が大勢おられます。この連載を通じて、ぜひマンダリンに親しんでください。
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