まんだりん 面白話 |
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2002年9月
縁起言葉 その2 第十話
贈り物
前号に引き続き、中国語の縁起言葉と贈り物の話をしましょう。
1梨
前回掲載の「縁起言葉」の中では中国人が贈り物の発音にこだわることにふれました。
ここでいくつかの例をあげておきましょう。
病院などへ患者のお見舞いに行く時、中国人はよく果物を持っていきます。ほとんどのものは大丈夫ですが、「梨」だけはタブーとされています。
なぜならば「梨」の発音は(li・2)で、「別離」、「分離」の「離」と同音になってしまうからです。
その他に靴の(xie・2)も、「亂」「邪」と同音で贈呈品には使われません。
2 数
数については、中国人はバランスを重視するため偶数のほうが好きです。
「四停八当」(うまくおさまる)、「成双成対」(対になる、アベック)などはお祝いや、めでたい時に使われます。
ただ「九」の中国語の発音は「く」ではなく、「久」(Jiu・3)と同じです。基本的には縁起が良いと考えられています。
3 色
贈り物あるいはその包装紙の色、数などにもいろいろなこだわりがあります。
包装紙の色に関しては、日本と同じで黒が嫌がられます。逆に赤はよく使われます。
一方、「黄色」も好まれません。その理由は枯れ葉の色だからです。物事が「黄了」(Huang・2、le)というのは「失敗した」という意味です。
ただし、黄色に近いオレンジ色や金色は忌まれませんし、かえって喜ばれます。
4 ハンカチ
日本にはブランド品のハンカチと靴下をセットにしてプレゼントする習慣があります。
ハンカチは中国語で「手絹」(Shou・3、Juan・4)と言います。日常生活で使う他に悲しい涙を拭く時にも使います。
だから中国人はハンカチで涙を連想してしまうので贈り物にしません。
5 靴下
靴下は子供用のものは別として、特に男性に靴下を贈るようなことはしません。
先日、何人かのシンガポーリアンにその訳を聞いたら、ビックリ仰天。
昔、熱帯地方では、一生靴下を履かなかったそうです。ただ、土になるまでに一回だけ履く時がありました。それは死体になって納棺される前です。
注・ローマ字綴りのあとの数字は中国語の四通りの声調を表すものです。 詳細は本誌8月号P19をご参照ください。
中国語とマンダリン
中国は国土が960万平方キロ、日本の約26倍の広さで、ヨーロッパがすっぽり入る面積です。したがって、地方ごとに「方言」があり、その発音はまったく違います。ヨーロッパでドイツ語とイタリア語が違うように、たとえば北京の人と上海の人とでは、通訳がないと会話が成り立ちません。
そこで、コミュニケーション用の共通語が必要になります。こうして定められた言葉が「マンダリン」です。大陸では「普通語」といい、「普」遍的に「通」用するという意味です。
したがって、「マンダリン」あるいは「普通語」は、中国人および華人の共通言語で、外国人からは「標準中国語」と呼ばれています。
葛珠慧(ガー・チュイフィー)先生
星日外国語学院院長、シンガポール大学(NUS)・南洋理工大学(NTU)日本語非常勤講師。元CCTV(中国国家テレビ局)国際部キャスター
長年シンガポール大学の日本語講師を務められている葛先生は、上海のご出身(現在はシンガポール国籍を取得されています)。ご主人ともども日本留学経験のある親日家です。
超大国アメリカが同時多発テロに見舞われ、ほとんどの国が経済不況に陥っているなか、中国だけが8年連続でGNPを8%以上増加させ、APECの上海開催、WTO加盟、2008年の北京オリンピックなど元気ぶりが目立ちます。
駐在されている方々も、中国への出張や転勤が増えています。また、長年滞在していても、マンダリンができないために不自由を感じておられる方が大勢おられます。この連載を通じて、ぜひマンダリンに親しんでください。
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