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まんだりん 面白話

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2002年6月

マンダリン 第七話


龍頭、熱点 上海

経済の高度成長期を迎えた中国、特にその「龍頭」(機関車)の役割を担う上海は去年のAPEC首脳会議の開催地としてこれまで以上に世界の注目を集めるような「熱点」となりました。
 去年上海のGDPの対前年比は12%増で、連続十年二けた増加を記録しました。
 一人当たりのGDPは4500米ドルに達し2003年には5000ドルに突入する勢いです。そうなれば、上海の総合経済力は「中進国」レベルに達するという経済学者もいます。
 消費もなかなか好調で、高級レストランや欧州風のクラブが軒を連ねる繁華街もあれば、入場料がたった6元(100円足らず)の大衆ダンスホール、カラオケ・ボックスも旧市街地の至るところにあります。
 漢方薬や、朝鮮人参などを使った大衆浴場も上海っ子の人気を博しています。この「薬浴」浴場では、温水プール、映画館、ビリヤード室 なども備え、総合的な「娯楽場」となっています。最新統計によると、現在上海には3000 平米以上の面積をもつ大型浴場が千軒以上もあるとのことです。
 Starbucksのようなモダンチエーン店も上海のあっちこっちで見かけます。このようなお店は内装費だけでも100万米ドルかけているとか。
 また、シンガポールのリャンコート大丸の一階にあるRainforest のようなレストランも上海にはすでにあって、しかもシンガポールの2倍もあります。

 香港の大スターたちはこの上海の魅力に惹きつけられ、相次いで上海で家を構えたり、子供を上海の国際学校に入れたりしています。アメリカンスクール、シンガポール国際学校などはみんな超満員で、日本人学校もこの5月に新校舎が完成したばかりです。

上海語ブーム

 上海の復活によって予想外のことが起こりつつあります。上海関連の仕事をする人たちが、上海をはじめ世界各地で上海語学習のブームを引き起こしているのです。発音も単語も北京語とずいぶん違う上海語は、中国語の代表的な方言の一つで、長年、標準語普及の妨げとされ、軽視されてきましたが、経済発展という思いがけない助け舟によってまた元気を取り戻しています。
 報道によると、市内の夜間学校では60人のクラスが珍しくなく、台湾、香港などの語学学校では上海語教員の争奪でしのぎを削っているそうです。

「生粋の上海っ子」の私もJSU校で「上海語速成クラス」を作ろうかなと考えているところです。

中国語とマンダリン

 中国は国土が960万平方キロ、日本の約26倍の広さで、ヨーロッパがすっぽり入る面積です。したがって、地方ごとに「方言」があり、その発音はまったく違います。ヨーロッパでドイツ語とイタリア語が違うように、たとえば北京の人と上海の人とでは、通訳がないと会話が成り立ちません。
そこで、コミュニケーション用の共通語が必要になります。こうして定められた言葉が「マンダリン」です。大陸では「普通語」といい、「普」遍的に「通」用するという意味です。
したがって、「マンダリン」あるいは「普通語」は、中国人および華人の共通言語で、外国人からは「標準中国語」と呼ばれています。

葛珠慧(ガー・チュイフィー)先生

星日外国語学院院長、シンガポール大学(NUS)・南洋理工大学(NTU)日本語非常勤講師。元CCTV(中国国家テレビ局)国際部キャスター


長年シンガポール大学の日本語講師を務められている葛先生は、上海のご出身(現在はシンガポール国籍を取得されています)。ご主人ともども日本留学経験のある親日家です。
超大国アメリカが同時多発テロに見舞われ、ほとんどの国が経済不況に陥っているなか、中国だけが8年連続でGNPを8%以上増加させ、APECの上海開催、WTO加盟、2008年の北京オリンピックなど元気ぶりが目立ちます。
駐在されている方々も、中国への出張や転勤が増えています。また、長年滞在していても、マンダリンができないために不自由を感じておられる方が大勢おられます。この連載を通じて、ぜひマンダリンに親しんでください。


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