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まんだりん 面白話

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2002年5月

マンダリン 第六話


 日・韓・中国人の見分け方

経済の高度成長によってもたらされた豊かさの現われの一つとして、大勢の人が海外旅行へ出かけます。20年前からは日本人、10年前は韓国人、そして最近は中国人が相次ぎ東南アジアを訪れています。
 この東アジア地域に生活する三つの民族は昔からよく「同文同種」と言われ、文化も顔立ちも良く似ていて一目で見分けるのはたいへん難しいです。
 わたしは自分の観察からこれらの人々の日常的な行動の微妙な違いをいくつか発見しました。今回はその感想の一部を披露してみましょう。

空港で

 まずチャンギ空港に到着した団体観光客の行動から見てみましょう。例えば10人ぐらいのグループのリーダーや案内者が何かを話している場面。静かに聞き入り、時おり合図地をうつ観光客は日本人。ほとんどの人が大声で騒いでいるのは韓国人です。  
 一方、中国人だと、だいたい半分の人は自分たち同士で話していて、あと半分の人はリーダーの話を聞きながら、周りをじろじろと見回します。
 このような違いは日本の地下鉄や電車の中でもあります。居眠り、読書しているのは日本人。乗車してから視線がなかなか決まらないのは中国人。韓国人はやはり一番表情豊かな人種でしょう。

歩き方

 わたしはいつも東京や大阪など日本の都会の人たちが、横断歩道や道を歩く速度の速さを不思議に思い、日本人が世界で一番せっかちな民族だと思っていました。
 ところが、この前ソウルに行った時、「パリ、パリ」という韓国語をよく聞くので、たず訊ねてみたら「速く、速く」という意味でした。
 どちらもせっかちなのですが、内容は少々違うような感じがします。日本人は環境や時間を守るのに対して、焦りがちですが、韓国人はむしろ人間関係でいらだちやすいようです。
 一方、中国人は我慢強いというか、のんきというか、とにかくなんでもマンマンライ慢慢来(ゆっくりゆっくり)で有名です。バスや電車を乗り損ねそうになっても慌てて走りだす人はほとんどいません。

 端的に言いますと、集団主義的でまじめな日本人、おしゃべり好きで陽気な韓国人に対して、中国人は自己中心的で、おおらかです。それらの性格がやはり行動に現われるのだと思います。
中国語とマンダリン

 中国は国土が960万平方キロ、日本の約26倍の広さで、ヨーロッパがすっぽり入る面積です。したがって、地方ごとに「方言」があり、その発音はまったく違います。ヨーロッパでドイツ語とイタリア語が違うように、たとえば北京の人と上海の人とでは、通訳がないと会話が成り立ちません。
そこで、コミュニケーション用の共通語が必要になります。こうして定められた言葉が「マンダリン」です。大陸では「普通語」といい、「普」遍的に「通」用するという意味です。
したがって、「マンダリン」あるいは「普通語」は、中国人および華人の共通言語で、外国人からは「標準中国語」と呼ばれています。

葛珠慧(ガー・チュイフィー)先生

星日外国語学院院長、シンガポール大学(NUS)・南洋理工大学(NTU)日本語非常勤講師。元CCTV(中国国家テレビ局)国際部キャスター


長年シンガポール大学の日本語講師を務められている葛先生は、上海のご出身(現在はシンガポール国籍を取得されています)。ご主人ともども日本留学経験のある親日家です。
超大国アメリカが同時多発テロに見舞われ、ほとんどの国が経済不況に陥っているなか、中国だけが8年連続でGNPを8%以上増加させ、APECの上海開催、WTO加盟、2008年の北京オリンピックなど元気ぶりが目立ちます。
駐在されている方々も、中国への出張や転勤が増えています。また、長年滞在していても、マンダリンができないために不自由を感じておられる方が大勢おられます。この連載を通じて、ぜひマンダリンに親しんでください。


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