まんだりん 面白話 |
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2002年3月
マンダリン 第四話
● 馬年無春
中国人にとって旧正月は一年中で一番大切な祝日で「春節」といいます。文字通り「春」を祝う節日です。
例年なら大勢の若いカップルがこの吉日を選んで結婚式を挙げますが、今年は中国各地で異変が起こりました。春節直前の2月2日あたりに町中で「花車(ホアーチォー)」(花嫁を乗せた豪華高級車)が見られ、ホテルなどの式場は人出がいっぱいで、ウエディング・ラッシュが巻き起りました。
これは中国人が「2」という偶数を好むのも一因ですが、もっと大きな誘因は「馬年無春(マァ 二ィエン ウ チュゥン)」という言い方にあると思われます。今年は春の始まりの「立春(りィ チュゥン)」が2月4日で、お正月は約1週間後の2月12日から始まりました。一方、来年の1月31日に旧暦の馬年が終わりますが、その時点では新しい立春はまだ来ていません。つまり、この一年間は「立春」という節季が現れないことになります。
このような年のことを「無春年(ウ チュゥン ニィエン)」、「寡婦年(グゥア フー ニィエン)」と呼びます。民間では結婚するには不吉という迷信がまだ残っています。そのため、この馬年が来る前(ヘビ年<小龍年ともいう>の終わり)に駆け込み結婚が行われました。
● 「馬を使った慣用句」
「馬」に関する慣用句にはいいイメージを持つものが数多くあります。例えば「天馬」、「玉馬」、「神馬」、「龍馬」。
「龍馬」といえば、毎年旧正月にシンガポール川河畔で催されるお祭り会場のまわりに必ず掲げる垂れ幕に「龍馬精神(ルゥォン マァ チン シェン)」というスローガンがあることにお気づきでしょうか。この「龍馬」は心身とも健全で強い向上心を持という意味です。
「馬到成功(マァ ダォー チョォン クゥォン)」は馬に乗りつけたら、すぐ成功するという慣用句です。
もちろん「馬」があまりよくない譬えに使われることもあります。日本語の意味とさほど違わないものに、「心猿意馬(シン ユアン イ マァ)」、「東風吹馬耳(トゥォン フェン チュイ マァ アル)」、「風馬牛不相及(フェン マァ ニュウ ブー シィアン チィ)」、「馬歯徒増」(マァ チー トゥ チェン)意味:いたずらに馬齢を重ねる、などがあります。
日本語でなじみのないものには「馬馬虎虎(マァ マァ フゥ フゥ)意味:いいかげん」、「走馬看花(ツォウ マァ カン ホアー)意味:おおざっぱに見る」、「馬後砲(マァ ホウ パアウ)意味:後の祭り」といった類もあります。さらに思いもよらない表現を挙げると「馬拉松(マァ ラ ソン)」は、「マラソン競走」のことで、また「馬桶(マァ トオン)」といえば、人間が使用する便器のことをさします。
中国語とマンダリン |
中国は国土が960万平方キロ、日本の約26倍の広さで、ヨーロッパがすっぽり入る面積です。したがって、地方ごとに「方言」があり、その発音はまったく違います。ヨーロッパでドイツ語とイタリア語が違うように、たとえば北京の人と上海の人とでは、通訳がないと会話が成り立ちません。 そこで、コミュニケーション用の共通語が必要になります。こうして定められた言葉が「マンダリン」です。大陸では「普通語」といい、「普」遍的に「通」用するという意味です。 したがって、「マンダリン」あるいは「普通語」は、中国人および華人の共通言語で、外国人からは「標準中国語」と呼ばれています。 |
葛珠慧(ガー・チュイフィー)先生
星日外国語学院院長、シンガポール大学(NUS)・南洋理工大学(NTU)日本語非常勤講師。元CCTV(中国国家テレビ局)国際部キャスター
長年シンガポール大学の日本語講師を務められている葛先生は、上海のご出身(現在はシンガポール国籍を取得されています)。ご主人ともども日本留学経験のある親日家です。
超大国アメリカが同時多発テロに見舞われ、ほとんどの国が経済不況に陥っているなか、中国だけが8年連続でGNPを8%以上増加させ、APECの上海開催、WTO加盟、2008年の北京オリンピックなど元気ぶりが目立ちます。
駐在されている方々も、中国への出張や転勤が増えています。また、長年滞在していても、マンダリンができないために不自由を感じておられる方が大勢おられます。この連載を通じて、ぜひマンダリンに親しんでください。
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