まんだりん 面白話 |
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2002年2月
マンダリン 第三話
● お正月
まもなく中国の旧正月です。お正月を迎えること、過ごすことは中国語で「過年(音)クゥオーニィエン」と言います。
伝説によるとこの「過年」の「年(音)ニィエン」は、「とし」という意味ではなく、猛獣の名前だそうです。この「ニィエン」は虎、ライオンなどよりも獰猛な動物で一年中ずっと海の中に住んでいますが、大晦日の日にだけ人を食べに陸上に上がってきます。しかし、人々はこの猛獣が赤い色を見たら目を開けられないこと、そして爆竹の音を怖がる弱点を見つけました。
この伝説を信じた中国人は新年を迎える際に「ニィエン」に食べられないように大晦日の夜必ず三つのことをしました。まず、いろいろな赤いもので家中を飾ります。次は家の外で爆竹を鳴らします。そして戸をしっかりと閉めて家族そろって徹夜をします。
夜が明けたら家ごとに戸をあけて互いに「新年快楽(音)シン ニィエン クゥアイ ロォ(意味:あけましておめでとうございます)」と言いながら、「拝年(音)パイ ニィエン(意味:年始回り)」などをします。
●(ミカンとアンパオの絵)
こちらシンガポールの年始回り挨拶言葉によく使われるのは「恭喜發財(音)クゥォン シィ ファー ツァィ(意味:儲かるように)」。そして大吉を意味する福桔をさしあげます(オレンジはだめです)。相手も同じように福桔を渡します。
だからシンガポールでの年始回りは簡単です。二つの福桔を持っていけばいいわけで、いくら多くの家や会社を回っても、最後に福桔が二つ残ります。
子供たちは「恭喜發財」の次に「紅包拿来(音)フォン パオー(方言だと、アン バオ) ナァ ライ(意味:お年玉頂戴)」と言います。
Q 子供たちにあげる紅包は、幾らくらいがいいでしょうか。
A 紅包のお金は、子供が鬼とか悪魔に遭った時、賄賂として「買路金(通行料)」支払うという意味あいのお金です。パーティに呼ばれたら、まず子供の人数を聞いておいて全員にアンパオを用意しておいた方がよいでしょう。金額は$2からですが、$4と、奇数の金額は避けなければなりません。
マレー人にアンパオをあげる場合には、習慣上はカバーの色は赤ではなく、グリーンです。しかもこちらは奇数のほうがかえっていいのです。その関係でしょう、シンガポールの紙幣の色は$2と$10は赤で、$5はグリーンです。
Q アンパオの対象となる子供は、何歳までですか。
A 昔の中国人は結婚していない人をみんな子供として扱いましたが、現代では独身の人が多いので、仕事をもっている人にはあげないのが常識となっています。
Q アンパオに入れるお金は新しい札のようですね。
A その通りです。新年ですから、なんでもニューの方がいいのです。そこで新年の2週間前から、銀行では新札の取り替えの人でごった返すというのがシンガポールの風物詩となっています。
Q ドアに「福」の字をさかさに貼っている家庭がありますが。
A もちろん漢字が読めないからではありません。「倒」と「到」は同じ発音なので、「福」を逆さまに「倒」して「福」が「到来」するように祈願するという意味です。
中国語とマンダリン |
中国は国土が960万平方キロ、日本の約26倍の広さで、ヨーロッパがすっぽり入る面積です。したがって、地方ごとに「方言」があり、その発音はまったく違います。ヨーロッパでドイツ語とイタリア語が違うように、たとえば北京の人と上海の人とでは、通訳がないと会話が成り立ちません。 そこで、コミュニケーション用の共通語が必要になります。こうして定められた言葉が「マンダリン」です。大陸では「普通語」といい、「普」遍的に「通」用するという意味です。 したがって、「マンダリン」あるいは「普通語」は、中国人および華人の共通言語で、外国人からは「標準中国語」と呼ばれています。 |
葛珠慧(ガー・チュイフィー)先生
星日外国語学院院長、シンガポール大学(NUS)・南洋理工大学(NTU)日本語非常勤講師。元CCTV(中国国家テレビ局)国際部キャスター
長年シンガポール大学の日本語講師を務められている葛先生は、上海のご出身(現在はシンガポール国籍を取得されています)。ご主人ともども日本留学経験のある親日家です。
超大国アメリカが同時多発テロに見舞われ、ほとんどの国が経済不況に陥っているなか、中国だけが8年連続でGNPを8%以上増加させ、APECの上海開催、WTO加盟、2008年の北京オリンピックなど元気ぶりが目立ちます。
駐在されている方々も、中国への出張や転勤が増えています。また、長年滞在していても、マンダリンができないために不自由を感じておられる方が大勢おられます。この連載を通じて、ぜひマンダリンに親しんでください。
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