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自閉症坊やとかあさんの新嘉坡雑記

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2006年 9月

第5回


あわせていくつ?のこりはいくつ?



待ちに待った夏休みのはずが、学習課題が山積みの長男は「さあ、元気に遊ぼう!」とばかりはいきません。
母に怒られては、「勉強、おしまい!」と連発しながらも、頑張って机に向かっています。



 不安いっぱいで始まった長男と母の二人三脚での学校生活。途中、何度も転びながらも、先生やお友達をはじめ、たくさんの方々に支えられ、なんとか夏休みまで歩き通すことができました。

 よく怒って、よく泣いて、それでも楽しいことがたくさんあった一学期。朝の挨拶ができなかった長男が初めて「はい、元気です」と返事をしたとき、クラスのお友達が歓声を上げて大喜びしてくれました。また、癇癪を起こしたときには、「大丈夫?」「頑張って」とお友達から優しい声をかけてもらいました。

 まだまだ大変なことも多いけれど、大嫌いな赤白帽がかぶれるようになったり、スクールバスに一人で乗れるようになったりと、長男が周囲の応援にこたえる頑張りを見せてくれたことが何よりもうれしかったです。

 そして今、長男は最大の課題である、たし算とひき算に取り組んでいます。「♪あわせていくつはたし算、のこりはいくつはひき算」と調子よく歌うのですが、実際に彼がやるのは、あわせていくつはひき算! のこりはいくつはたし算!! 母は「どうしてそうなるの!?」と怒り心頭に発しながらも、ひたすら忍の一字で繰り返し説明です。

 やっと計算ブロックを置けるようになり、「じゃあ、答えはいくつ?」と聞いたら、今度は正しく置けたブロックを見事に数え間違います。母はもう怒りを通り越して、涙ポロポロです。

 長男がひとつのことを習得するには、繰り返しと長い時間が必要なことは分かっているつもりですが、たし算とひき算は強敵。でも、長男は癇癪行動を起こしながらも放棄することなく、問題に取り組んでいます。

 長丁場の二学期を歩き通せるように、準備をしている夏休み。長男の努力に勇気付けられ、母も諦めず頑張っています。


YUKKO
7歳と5歳になる男の子の母。二人とも自閉症という障害を持っている。
不安いっぱいでスタートした在星生活も、人との出会いに恵まれ、早3年目を迎えた。