自閉症坊やとかあさんの新嘉坡雑記 |
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2006年 7月
第4回
僕、魔法がつかええうんだよ
言葉のない次男が「魔法の力」を手に入れました。
大きく変わり始めた彼の世界。
その魔法を使って父の日に最高の贈り物をくれました。
5歳を過ぎてもまだ発語がない次男。発達に伴って彼の要求は複雑になり、意思の疎通がますます難しくなってきました。例えば、彼が画用紙とクレヨンを持って私に何かを描いてほしいと言うのですが、私には何を描いたらいいのかわかりません。推測して描いてみても、当たらないことのほうが多いのです。
でも最近、次男はすごい魔法を獲得し、周囲とのコミュニケーションがずっと楽に取れるようになりました。その魔法とは、「ひらがな」です。
ある日、長男のために壁に貼っていたひらがなの表を次男が指差していました。彼が指している文字を声に出して読んでみると・・・「おちや」。もうびっくりです! 次男は「お茶」と私に伝えていたのです。「すごいね、お茶ってわかるんだね」と言うと、次男は本当にうれしそうにニコニコ。長男が見ているひらがなのビデオを一緒に見ているうちに次男も文字を覚えたようです。
さっそく幼稚園の先生に相談し、協力をお願いすることに。先生が作ってくださった「ひらがな表」を幼稚園と自宅で使うことになりました。次男の気持ちに添った保育をしてくださる先生には本当に感謝をしています。
最近、彼は画用紙とクレヨンとともに「ひらがな表」を持って私のところへやって来ます。表の文字をゆっくりと指差して「りんご」や「たまご」など、彼が描いてほしいものを私に伝えます。
今では要求だけでなく、自分の気持ちも魔法で伝えるようになっています。先日、幼稚園で父の日のカードを作成したときには「あ・り・が・と・う」と文字を指して書いてほしいことを先生に伝えたそうです。いろいろな面で遅れている次男ですが、一番大切な心がちゃんと育ってくれていることが何よりもうれしくて、わぁーっと涙があふれてきました。
魔法を手にした次男が、これからどんな成長を見せてくれるのか本当に楽しみです。