自閉症坊やとかあさんの新嘉坡雑記 |
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2006年 4月
第1回
僕は迷コック!?
長男は4月から小学校1年生です。
ここのところ急に料理に目覚め(?)、私が台所に立つと「待ってました!」とばかりにお手伝いをしてくれるのですが…
長男が初めて本物の包丁を手にしたのは昨年7月のこと。幼稚園でカレーライスを作るというので、家でその練習をしたのです。
子供用とはいえ、よく切れる包丁を長男は最初、おもちゃだと思っていました。「トントン」と言いながら包丁を握る彼のそばで、私は「ギャー、ストップ!」と叫びっぱなしでした。
野菜がスパッ! スパッ! と見事に切れるたびに「ワァー!」と歓声を上げます。包丁から手に伝わってくる感覚が気に入ったご様子。近頃では自分でマイまな板、マイ包丁を用意し、私が食材を渡すのを待っています。
ただ、長男には自閉症児特有の強いこだわりがあり、それが彼を「名コック」ならぬ「迷コック」にしています。
彼はニンジンなら輪切り、ジャガイモなら縦横十文字というように自分が決めた切り方しかしません。「もう少し小さく切って」とお願いしても全く無視! 私が切り直そうものなら、ゲンコツで自分の頭を叩き出すなどの癇癪行動を取り始めます。
1日に1個、「コンコン、パカッ」と言いながら卵を割るのも日課です。割った卵には必ず牛乳を入れて(でも絶対に牛乳は飲みません)「♪ま〜ぜまぜ、ま〜ぜまぜ」と歌いながら長い菜箸でかき混ぜます。混ぜた卵はバターをひいたフライパンへ。これが卵に関する彼のこだわりです。
料理を作っている間中、長男は自分が決めたように出来なければ、癇癪行動を繰り返してしまいます。我が子の痛む行為を見るほど辛いことはありません。今後は彼に自分の感情をコントロールする力を付けさせなければと思っています。料理作りを通して、その力をどのように養っていくか、今私が直面している大きな課題です。
将来、長男が自炊を楽しみ、自立した食生活を送れるように、母と子の修業の日々は続きます。
YUKKO 7歳と5歳になる男の子の母。二人とも自閉症という障害を持っている。 不安いっぱいでスタートした在星生活も、人との出会いに恵まれ、早3年目を迎えた。 |