お探し情報を中心とした、シンガポールの総合情報サイト
一般、ビジネス、お仕事、観光、生活、趣味、掲示板、プロモーション、プレゼント 等
 
 シンガポール お探しネットAsia Business Network   ビジネス情報ページへ



エイビック・コーポレーション、ビジネス手引き書シリーズ


シンガポール税制概要


1.シンガポール所得税の適用範囲

2.居住者/非居住者の区分け

3.費用の損金算入

4.資本控除

5.源泉所得税及びニ重課税排除条約

6.経理書類の作成及び保存等の義務

7.所得申告義務、課税所得査定、並びに、税の支払い

8.義務、調査、並びに、違反及び罰則

9.異議申立、訴願、並びに、上訴

10.税制優遇措置


1.シンガポール所得税の適用範囲

1.1 課税対象となる所得

シンガポールは、属地ベースの税制度を採用しておる。所得税法の10条(1)項で、課税所得を構成する収入及び収益項目を規定しておる。
"下記各号に関して、シンガポール内において、発生した(Accruing in)、又は、シンガポールより派生(derived from)した、或いは、シンガポールの外で発生しながら、シンガポール内において受取られた、いかなる者の所得に対して、支払われなくてはならない"。
(a) 取引(trade)、営業(business)、職業、又は、仕事が、如何な期間行われたかを問わず、その取引、営業、職業、又は、仕事よりの利得(gains)又は利益(profits)
(b) 雇用からの利得、又は、利益
(c) (削除)
(d) 配当、利息、又は、割引料
(e) 恩給、援護金、又は、年金
(f) 財産から生じる、賃貸料、権利料、手数料、並びに、その他の利益
(g) 上記のどの項目にも該当しない、所得の性質からの利益
よって、上記の項目の所得は、大別して、(a)項の事業所得と、それ以外の、事業以外からの所得に、分けられる。項目(a)から(g)の所得は、シンガポールで発生したか、又は、シンガポールより派生した場合(シンガポール源泉の所得)、若しくは、外国において源泉の所得については、シンガポールで受取ったか、又は、受取ったと見なされる場合にのみ、シンガポールにて課税される。
よって、上記の項目の所得は、大別して、(a)項の事業所得と、それ以外の、事業以外からの所得に、分けられる。項目(a)から(g)の所得は、シンガポールで発生したか、又は、シンガポールより派生した場合(シンガポール源泉の所得)、若しくは、外国において源泉の所得については、シンガポールで受取ったか、又は、受取ったと見なされる場合にのみ、シンガポールにて課税される。
キャピタル・ゲインに対す課税はない、但し、不動産売買取引よりのキャピタル・ゲインについては、特別規定が適用される。(所得税法第10条F)
所得税法第10条の中に、先の項目(a)から(g)に係わる解釈・取扱いのガイドラインとなる規定条項が多くある。
1.2 所得的収入と資本的収入との区分け
投資物件の売却益、事業用固定資産の売却益(但し、既に税務上の償却がされて
おる場合は、償却相当額は、事業所得に加算調整される)等の、キャピタル・ゲインは、課税されない。但し、投資(株式、不動産等)を業としておる場合は、課税対象となる。非課税のキャピタル・ゲインと扱われるかどうかの、判断基準として:取得目的;保有期間;売買の頻度;購入の際のファイナンス形態;売却理由等が、考慮される。非課税(すなわち、業としておらない場合)の投資に係わる、キャピタル・ロス(資本的損失)については、税務上の控除は認められない。

2.居住者/非居住者の区分け

法人の場合

2.1 シンガポールの居住者とは、その事業(business)の支配(control)及び管理(management)が、シンガポールにおいて行われておる会社(company)と定義されておる。(所得税法第2条)

2.2 会社(company)とは、シンガポール、又は、その他の国で施行されておる法律に基き設立された会社と定義されておる。(所得税法第2条)

2.3 居住法人の場合、シンガポールで生じた、又は、シンガポールより派生した所得、並びに、シンガポールで受領する所得に対し課税され、非居住法人の場合は、シンガポールで生じた、又は、シンガポールより派生した所得に対し課税される。

個人の場合

2.4 シンガポールの居住者とは、賦課年度の前年(暦年)において、シンガポールに居住しているというその者の主張が、合理的、且つ、矛盾してないような、シンガポールからの一時的な不在を除き、シンガポールに居住する者を意味し、そして、賦課年度の前年(暦年)において183日以上、居住し、又は、就業しておった者を含む(但し、会社の役員を除く)。(所得税法第2条)

(例) A氏は、シンガポールに、2003年9月14日に着任、2004年8月15日迄勤務した(に帰国):
賦課年度2004年  非居住者 (在星日数が、183日以下である)
賦課年度2005年  居住者  (在星日数が、183日を超える)
(例) B氏は、シンガポールに2003年9月14日に着任、2005年2月28日迄勤務した(に帰国):
賦課年度2004年  居住者扱い(税務当局の取扱いで、滞在が継続して3ヶ年にまたがる場合は、初年度に遡って、居住者扱いとなる)
賦課年度2005年  居住者  (在星日数が、183日を超える)
賦課年度2006年  居住者  (在星日数が、183日を超える)

2.5 賦課年度の前年(暦年)において、60日を超えない期間、シンガポールの非居住者が、シンガポールにおいて働き、シンガポールにおいて発生した、就業による利得又は利益に関しては、取得したその所得は、免除されるものとする。但し、この条項は、下記の方々には適用されない。(所得税法第13条(4))

(a) 会社の役員により取得された報酬
(b) 大衆芸能人(芸術家、音楽家、プロスポーツ人等)の利得、又は、利益
(例)C氏は、日本の雇用主よりの出張命令で、シンガポールに在る、関連会社の従業員訓練の為、シンガポールに、2004年9月15日に到着、2005年11月10日にシンガポールを去った。
2004年のシンガポールにおける、就業期間が60日を超えないので、シンガポールにおける所得税は免除される。(所得税法第13(4))
(例)D氏は、日本の雇用主よりの出張命令で、シンガポールに在る、関連会社の従業員教育訓練の為、シンガポールに、2004年9月15日に到着し、2004年11月10日まで訓練に従事したが、11月11日に発病し、シンガポールにて入院し、12月10に退院し、シンガポールを出国した。
2004年のシンガポールにおける、就業期間が60日を超えないので、シンガポールにおける所得税は免除される。就業で居った期間、すなわち、短期プロジェクトで60日を超えて働かなければ、入院、又は、休暇でシンガポールに居っても(183日を超えない限り)免除される。

2.6 居住者/非居住者の個人:税務上の取扱い差異

シンガポール居住者(扱い) シンガポール非居住者(扱い)
(a)  通常の累進課税率(4%−22%)の対象(基礎控除を受けられる)
   *所得税法第12条(6)(7)
就業よりの所得及びある特定の所得*に対しては、一律15%、その他の所得に対しては、一律20%(基礎控除が受けられない)、又は、居住者に対する累進課税率(基礎控除あり)の、どちらか、大きい方
(b)  シンガポールが締結した、租税条約等の下での、恩典が受けられる シンガポールが締結した、租税条約の下での、恩典が受けられない
(c) 外国で源泉の所得を、シンガポールで受取ると課税される 外国で源泉の所得を、シンガポールで受取っても、課税されない
(d) 60日間以下の就業よりの所得への免税の恩典が受けられない  60日間以下の就業よりの所得への免税の恩典が受けられる

2.7 シンガポールの法人の取締役となっており、且つ、非居住者である場合は、役員報酬に対して、一律20%が課せられる。基礎控除は受けられない。


3.費用の損金算入

法人の場合

3.1 税務上の損金として控除が認められる費用かどうかの規定は、所得税法第14条にて"所得の創出にあたり、その者によって、その期間において、専ら(wholly and exclusively)生じた、全ての支出及び費用は、本法律に基き課税される源泉からの所得の確定する目的に対し、控除を受けられる"と定められておる。

よって、一般的に、控除が認められておる支出及び費用には、売上原価、人件費、販売及び管理経費、支払い利息(但し、所得を得る為に使用された借入金への支払い利息)、賃借料、修理・更新費、確定した回収不能債権、税務上の減価償却費等である。

3.2 ある年度に生じた損失は、一定の条件を満たせば、将来に渡って、繰越が認められ、将来の所得と相殺出来る。(所得税法第37条(2))

一定の条件とは、損失の発生した年度の最終日(会計年度の決算の年の12月31日)と、相殺控除をうけようとする賦課年度の最初の日(1月1日)における当該会社の株主構成が、実質的に同一である場合に限定される。(所得税法第37条(5))

なお、実質的に同一とは、株主構成比率で50%を超えての株主の変動がなかったこと。更に、株主が法人である場合は、その親会社も同じ条件を満たす必要がある。(所得税法第37条(6))


4.資本控除

4.1 会計処理上の減価償却費が認められておらない代わりに、特定の資本支出に対する、資本控除(Capital Allowanceと呼ばれておる)が認められておる。(所得税法第16条及び第19条)

4.2 主たる資本控除の対象としては、産業(工場)用の建物(所得税法第16条)、並びに、プラント及び機械(所得税法第19条)である。

資本控除(税務上の償却控除)の率は:
工業用建物及び構築物 25%の初年度一時償却、及び 毎年3%の年次償却
プラント及び機械 年次償却(耐用年数に応じて)、年次償却と初年度一時償却の併用、1ヶ年一括償却、又は、3ヶ年加速度償却を、法人の任意で適用する。
但し、1ヶ年一括償却は、コンピューター又はオートメーション機器に限られて認められておる。

5.源泉所得税及びニ重課税排除条約

5.1 源泉徴収は、以下の項目を、非居住者(個人、法人を問わず)に対し、支払う(又は、支払いと見なされる)場合に要せられ、当該項目の支払い(又は、支払いと見なされる)日より10日以内に、源泉徴収税額を、納付する必要がある。税率は、一般的には、シンガポールの法人税率である、20%である。源泉徴収をする者は、所定の用紙(Form IR37)に記入完了し、税務当局へ提出する。(所得税法第44条、第45条、第45条A、並びに、第45条B)

対象項目 税率 特殊な免除、又は、他の措置
配当 0%又は20% シンガポール居住法人によって支払われる配当金については、その配当金が、既に課税済みの所得相当額から、支払われる限り、居住者/非居住者に支払われるかを問わず、源泉徴収の必要がない(所得税法第44条)
利子 15% ACU勘定/外債よりの利子は、非課税(所得税法第13条(1)(t)(v))
ロイヤルティー/使用料 10% -
シンガポールに在る動産に係わる使用料又はその他のフィー 15% -
マネージメント料 20% その役務がシンガポールの国外で行われているとか、発生した実費の清算とかの場合は、源泉控除の必要はない
定期傭船料・裸傭船料 15% 船舶/航空機のチャーターフィーについては、税務当局が定めた率(0%〜3%)が適用される
非居住者取締役の報酬 20% -
<非居住者の人的役務所得>
60日以下の短期非居住者 0% 所得税法第13条(4)
60日以上、183日未満 15%か滞在の非居住者 累進課税率のどちらか大きい方 日星租税条約の第15条が適用される場合は0%

5.2 非居住者への支払いとは、実際の現金による送金のみならず、株式への転換、又は、相殺等も、支払いとみなされる。

5.3 シンガポールが租税条約を締結しておる国に対する支払いに係わる源泉税率については、項目によっては、その租税条約により軽減されておる。(所得税法第49条)

例えば、日星租税条約に従って、下記の軽減、又は、免除措置がある。
配当 限度税率5% (25%以上の資本を有する法人株主の場合)
限度税率15%(上記以外の株主の場合)(租税条約第10条)
利子 限度税率10%(租税条約第11条)
ロイヤルティー/使用料 限度税率10%(租税条約第12条)

5.4 日星租税条約第13条によれば、下記の条件を満たす場合、勤務から生じた報酬について、シンガポールにて課税されない。

(a) 報酬の受領者が継続するいかなる12ヶ月の期間においても、合計183日を超えない期間、他方の締結国(シンガポール)に滞在し;
(b) その報酬が、当該他方の締結国(シンガポール)に居住しない雇用主(日本)、又は、それに代わる者から支払われるものであり;
(c) 報酬が雇用主の当該他方の締結国(シンガポール)内に有する恒久的施設又は固定的施設によって負担されるものでないこと。(租税条約第15(2))

6.経理書類の作成及び保存等の義務

6.1 会社法第199条の規定により、下記の義務が課せられておる。

シンガポールにて設立された法人
(1) すべての会社、その取締役、並びに、マネージャーは、会社の取引及び財政状態を十分に説明し、真正な損益計算書、貸借対照表、並びに、それらに添付することを要されておる書類が、随時準備されるような、経理及びその他の記録が維持されるようにし、そのらの記録が、便利に、且つ、適宜に、監査されるような方法で保管されるようにさせなければならない。(会社法第199条(1))
(2) 会社は、上記(1)にいう記録を、その記録がそれぞれ関係する取引又は運用の完了後7ヶ年の間、保存しなければならない。(会社法第199条(2))
(3) 経理帳簿及びその他の記録がシンガポール以外の場所にて保存されておる場合、真性な損益計算書、貸借対照表、並びに、それらに添付することを要されておる書類が、準備されるのを可能にするような文書及び報告書は、シンガポールへ送付され、且つ、シンガポールにて保持し、常時、取締役会よりの閲覧を受けられるようにする。(会社法第199条(4))
(4) 上記条項を遵守しない場合、会社及び怠った会社役員は、S$5,000の罰金、又は、3ヶ月以下の禁錮刑及び過怠金が科せられる。(会社法第199条(6))
外国法人のシンガポール支店
(5) すべての会社、その取締役、並びに、マネージャーは、会社の取引及び財政状態を十分に説明し、真正な損益計算書、貸借対照表、並びに、それらに添付することを要されておる書類が、随時準備されるような、経理及びその他の記録が維持されるようにし、そのらの記録が、便利に、且つ、適宜に、監査されるような方法で保管されるようにさせなければならない。(会社法第199条(1))

6.2 所得税法第67条の規定により、取引、事業、職業、仕事を営み、又は、行っている者は、所得、及び、認められた諸控除について、確認できるよう、十分な記録を、安全な管理下に、賦課年度の年から7年間、保存しなければならない。(所得税67条(1))

記録とは:(a)受取又は支払、収入又は支出を記録する経理帳簿; (b) 請求書、伝票、領収書、その他経理帳簿への記帳と照合する為の書類;(c)取引、事業、職業、仕事に関する記録等が含まれる。(会社法第67条(4))

経理記録保存の7年間とは、税務当局による追加税を課することが出来る、賦課年度経過後6年の期間(所得税法第73条)、及び、シンガポールにて設立された会社の場合の、7年間の保存期間(会社法第199条)と一致しておる。


7.所得申告義務、課税所得査定、及び、税の支払い

法人税

7.1 シンガポールは、賦課課税制度(日本の場合は、申告納税制度)、すなわち、納税義務者の納税額の査定が、税務当局により行われる制度を採用しておる。課税の対象となる期間は、原則的には、賦課年度の前年の所得をベースとし、1月1日から12月31日の暦年を対象とする。(所得税法第35条(1))

しかし乍、事業所得に関しては、法人の場合、当該法人の適用する会計年度を基準にしておる。(所得税法第35条(2))

但し、受取配当、受取利息、並びに、受取使用料等に対する課税は、原則的には、暦年ベースで行われる。

通常、毎年3月頃に、税務申告用紙(Form C)が、税務当局より、納税者の登録上の住所へ、郵送されてくる。申告義務者は、Form Cに記入完了し、必要関係書類を添えて、7月31日迄に、税務当局へ提出しなければならない。(所得税法第63条(1))

税務申告用紙(Form C)を、3月末までに、受取らなかった場合は、申告義務者は、4月14日迄に、税務当局へ、その旨通知すること。(所得税法63条(5))

7.2 更に、事業所得に関しては、当該法人の適用する会計年度の決算日から3ヶ月以内に、推定課税事業所得申告を届出すること。(所得税法第63条A(1))

7.3 税務当局より、課税額を記載した査定通告が郵送されてくる。納税義務者は、その通告の送達日から1ヶ月以内に、支払わなければならない。(所得税法第76条(1)及び第86条)

7.4 査定された税額を支払うことなしに、納税義務者が、シンガポールを出国しようとするこを防止する為、警察長官、又は、出入国管理局長、或いは、その両者に、命令を発することが出来る。(所得税法87条(1))

個人所得税

7.5 個人所得に関しては、賦課年度の前年である暦年、1月1日から12月31日の期間の所得をベースに、課税される。

7.6 通常、毎年2月頃、税務当局より、個人申告義務者(居住者)へ、税務申告用紙(FormB又はB1)、又は、個人申告義務者(非居住者)へ、Form Mが郵送されてくる。

7.7 雇用主は、被雇用者に(前年の暦年中に)支払った報酬の明細を、Form IR8Aに記入完了し、被雇用者本人に手交する。

7.8 税務申告用紙(Form B&B1、又は、M)を、記入完了し、必要書類(例えば、Form IR8A)を添付して、4月15日迄に、税務当局に提出しなければならない。(所得税法第63条(1))

7.9 税務当局より、査定通告が郵送されてくる。納税義務者は、その通告の送達日から1ヶ月以内に、支払わなければならない。(所得税法第76条(1)及び第86条)

7.10 査定された税額を支払うことなしに、納税義務者が、シンガポールを出国しようとすることを防止する為、警察長官、又は、出入国管理局長、或いは、その両者に、命令を発することが出来る。(所得税法87条(1))


8.義務、調査、並びに、違反及び罰則

8.1 所得申告義務: 所得税法第63条(1)及び第63条(5)

第63条(1) ― 税務当局は、書面による通知によって、課税される所得を確定する目的の為、所得の申告書及び明細書を、適当な期間内に提出するよう、要求することが出来る。
第63条(5) ― 賦課年度の開始後、3ヶ月以内に、所得の申告書の作成を要求されなかった場合、申告義務者は、その期間の経過後14日以内に、税務当局へ、その旨通知すること。

8.2 税務当局の調査権: 所得税法第64条、第65条、第65条A、並びに第65条B

第64条 必要と認める都度、本法律により要求する申告書に関する事項につき、その通告にて定めた適当な期限内に、更に、補足的、且つ、追加的報告書を提出するよう、文書にて要求を発することができる。
第65条 十分な情報を得る目的の為に、その通告の日より30日以上後の期日を定めた、通告によって、その通告に記載されている報告書を作成の上提出するか、又は、税務当局が必要と見なす帳簿、書類、決算書、並びに、報告書の、審査のため、出頭するか、提示するか、いずれか、或いは、双方共を、要求する通告を発することが出来る。
第65条A その通告の日より30日以上後の期日を定めた、通告によって、(a)当座勘定、預金勘定、事業用、私用、その者自身の名義、妻の名義、その他の者の名義かを、問わず、その者が利害関係を有し、若しくは、継続的に有しており、又は、その者が、共同若しくは独立して運用する権限を有し、若しくは、引続き有しておるもので、且つ、その通告に示された期間内に存在し、若しくは、存在しておった、全ての銀行勘定の明細書;(b) 貯蓄及び貸付け金勘定、預金;(c) 前項以外の全ての資産;(d)前項以外の全ての所得の源泉、及び、それから発生する所得、並びに;(e)納税義務に係わる全ての事実。
第65条B―(1) いつでも、本法律の目的の為に、あらゆる建物、場所、帳簿、書類、その他の文書に、自由に立入り及び検査する権限をもつ。また、料金、又は、対価を支払うことなく、それらの帳簿、書類、又は、文書を検査し、写しを取り、抜粋することが出来る。
(1A) かかる帳簿、書類、文書を入手することが出来る。
(2) 誰に対しても、本法律の諸目的の為に、その者、又は、他の者の所得、資産、又は、負債に関するあらゆる情報を、必要に応じ、口頭又は文書による回答を要求することが出来る。
なお、税務当局は、賦課年度内、又は、賦課年度経過後6年以内に、納税されるべきであると認める金額、又は、追加金額を課税することが出来る。但し、不正手段(fraud)及び意識的怠慢(willful default)によると認められた場合、追加査定は、先の6ヶ年の期限は適用されない。(所得税法第73条(1)(2))

8.3 違反及び罰則

所得税に規定されておることについて違反、若しくは、要求事項を怠った場合の、罰則は:
違反 罰則
(a) 不正確な申告又は情報を供する -
(1) 申告漏れ、過少申告、又は、不正確な情報供与(所得税法第95条(1)) 過少となった相当額と同額の加算税(ペナルティー)
(2) 申告漏れ、過少申告又は、不正確な情報供与(正当な理由なく、又は、過失による)(所得税法第95条(2)) 過少となった相当額の2倍の加算税、且つ、更に罰金S$5,000以下、及び/又は、3ヶ年以下の禁錮刑
(b) 意識的に脱税、又は、脱税幇助の意図をもって、所得隠匿、虚偽の陳述・記入、虚偽の回答、虚偽の記録作成、又は、記録の変造 (所得税法第96条(1)) 過少となった相当額の3倍の加算税且つ、更に、罰金S$10,000以下、及び/又は3年以下の禁錮刑
(c) 上記に含まれない、他の違反、
例、申告を怠る (所得税法第94条(2))
罰金S$1,000以下(罰金の支払いを怠ると、6ヵ月以下の留置刑)
(d) 第44条(10)、第63条(3)、第63条(7)第65条C、又は、第71条の違反で、同様の事由での有罪が2回以上であり、違反が継続しておる(所得税法第94条(4)(5)) 継続しておる期間、1日につき、S$50の加算税
なお、税務当局は、所得税法に基き罰せられる違反に対して、宥恕(ユウジョ)することが出来、又、判決の前にその訴訟手続きを停止し、又は、宥恕(ユウジョ)することが出来る。(所得税法第94条(6)、第95条(3)、第96条(4))

8.4 税金の支払いを怠った場合の、罰則規程

(a) 所得税法第86条に従って、期限内に税金の支払いを怠った場合、支払うべき税額の5%に相当する金額が加算され、税務当局より、加算された後の督促状(Form K)が、当事者へ送達されてくる。督促状の送達日より60日以内に支払いが行われない場合は、月1%の率で、更に延滞税(ペナルティー)が加算される。但し、総延滞税額は、滞納税額の12%を超えることはない。(所得税法第88条(1))
よって、税務当局が認める、延滞期間は最高15ヶ月(5%+12%=17%)となり、その期間が過ぎると、通常、税務当局は、納付されるべき金額(又は、延滞税等も含め)について、訴訟を起こすこととなる。(所得税法第90条(1))
(b) 非居住者に対する支払いに対し、所得税法の規定で、源泉税徴収が要せられておる場合において、源泉徴収を要せられた税額を、10日以内に、税務当局へ支払わないときは、5%に相当する金額が加算され、その後、未払いとなっておる各月毎に、1%の不納付加算税が課せられる。(所得税法第45条(4))
但し、不納付加算税額は、未払い税額の15%を超えることはない。源泉徴収を怠っ  た場合は、怠った者の支払うべき債務となる。(所得税法第45条(3)) 
更に、源泉徴収した後の10日以内に、税務当局へ、源泉徴収の通知を行なわない場合、源泉徴収した額の3倍に相当する額を支払うものとし、且つ、S$10,000以下の罰金、及び/又は、3ヶ年以下の禁錮刑を科せられる。(所得税法第45条(4))
税務当局は、当該違反に対して、宥恕(ユウジョ)することが出来、且つ、適宜な理由により、罪の全部又は一部を免除することが出来る。(所得税法第45条(7))

9.異議申立、訴願、並びに、上訴

9.1 税務申告に対し、その査定が終わると、納税すべき金額が記載された、査定通知書が各納税義務者へ郵送されてくる。 査定通知の内容に異議ある場合、当該通知書の日 付から30日以内に、明確な異議(不服)の事由を付した、申立を書面にて、税務当局へ行える。 この30日の期限は、納税義務者が病気、国外へ出かけておったり、又は、他の正当な理由で、税務当局が認めた場合、延長される。(所得税法第76条(2)(3)(4))

9.2 上記(30日の)期限切れ、又は、期限延長が認められなかった場合、先の査定が最終、且つ、決定的となる。但し、税務当局の追加査定を行う権限を妨げるものではない。(所得税法第84条)

9.3 仮に、ある賦課年度に税を支払ったが、申告又は計算書に過誤、又は、誤解により、超過して課税してしまったと主張する場合、賦課年度の最終日から6ヶ年以内であれば、その救済の為、税務当局に申請できる。但し、その申告書/計算書が、当然計算すべきであったような基礎に関する、過誤、又は、誤解に関しては、救済が与えられ ない。(所得税法第93条A)

9.4 異議申立した後、税務当局と合意に達しなかった場合、審査委員会へ、(審査)訴願することが出来る。審査委員会への訴願通知は、税務当局が査定修正を拒否した日から、7日以内に行うこと。(所得税法第79条(1))

9.5 審査委員会により決定された納税額がS$200を超える場合、訴願者、又は、税務当局は、審査委員会の決定について、高等裁判所へ、(30日以内に)提訴することができる。提訴は、法律の誤審、又は、法律と事実の混合のどちらの事由でもよい(所得税法第81条(2))

9.6 高等裁判所の判決に不服の場合、更に、上訴裁判所へ、上訴出来る。但し、法の解釈についてのみ上訴が出来る。(所得税法第81条(4))


10.税制優遇措置

シンガポールにおける奨励措置としては、大別して、(i)税務上の奨励措置(減税、又は、課税免除)と、(ii)補助金制度(教育訓練、又は、研究及び開発)がある。税務上の奨励処置は、経済開発局(Economic Development Board )、及び、貿易開発局(Trade Development Board)によって管理(許認可)されておる。補助金制度については、経済開発局及び国家科学技術局(National Science and Technology Board)が主管しておる。

10.1 経済拡大奨励(所得税法の軽減)法に基き、認可された、法人又は活動に対する税務上奨励措置

(a)免税措置としては:
− パイオニア(創始)産業、及び、パイオニア(創始)サービス企業奨励措置;
− 既存企業(製造、役務)拡大奨励措置;
− 生産品輸出、及び、役務輸出奨励措置; 
− 国際コンサルタント業務奨励措置;
− 認定された外国借款に係わる源泉所得税の免除;並びに
− 認定されたロイヤルティー、技術援助料、並びに、開発分担金に係わる源泉所得税免除措置。
(b) 減税、又は、特別控除措置としては:
− ポスト・パイオニア企業優遇措置;
− 国際貿易奨励措置;
− 投資控除優遇措置;
− 倉庫及び役務業務の課税免除措置;
− 海外投資、及び、ベンチャーキャピタル奨励措置;並びに
− 新技術会社に対する投資奨励措置。
(c) 所得税法に基き、低減税率が適用される税務上の優遇措置
− ACU勘定でのオフショア所得;
− ファンドマネージメント、金融、並びに、財務業務;
− 国際証券取引、商品取引、先物取引;
− 信託会社サービス;
− 非シンガポール危険の保険及び再保険;
− 地域経営本部業務;
− オフショア・リース事業;
− 国際石油取引;
− 海運業所得;
− 美術品及び骨董品取引業務;
− 研究開発費の2倍控除;並びに
− 輸出促進費の2倍控除。

10.2 日星租税条約の第23条にて、「見なし外国税控除」を認めておる。経済拡大奨励法等により与えられた、一定の優遇措置(例えば、パイオニア産業奨励措置、既存企業拡大奨励措置等)に対して、源泉所得税が支払われたと見なして、外国税額控除の適用を受けることが出来る。但し、この租税条約の規定は、2000年12月31をもって廃止された。


このコンテンツ(ビジネス手引きシリーズ)は、エイビック・コーポレーションが、編集並びに監修をしています。



エイビック・コーポレーション  a member of PAClub
 AVIC CORPORATION
 RAFFLES CITY  PO BOX 1783  SINGAPORE 911760
 Tel: (65)6235 7016  Fax:(65)6235 7017
 E-mail: abasa@ntti.net.sg