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エイビック・コーポレーション、ビジネス手引き書シリーズ

シンガポールにおける雇用に関わる事項

PART I. 雇用開始
 1.1 雇用契約書の条件
 1.2 Work permit, employment pass その他許可証の申請

PART II. 雇用期間中
 2.1 従業員の権利と雇用者の義務
 2.2 負担金、税金、その他
 2.3 雇用者の権利と従業員の義務

Part III 雇用契約の終結
 3.1 雇用契約の終結条件
 3.2 契約終了
 3.3 給与・解雇手当
 3.4 雇用契約を違反して帰国する外国人従業員
 3.5 Work permit 及び employment pass の返却
 3.6 従業員の義務
 3.7 雇用主の変更または雇用の譲渡


PART I. 雇用開始


1.1 雇用契約書の条件

雇用契約は契約期間中および契約期間終了後、雇用者と従業員との関係を規制するものであるため、契約条件を書面にて明記すことが大切です。
雇用契約書に記載されるべき事項は以下の通りです。 労働者及び月給$1,600以下の被雇用者はこの他に雇用法の条件を満たさなければなりません。(詳細はPart IIを参照)

従業員の資格・適格性要件
従業員の職務内容
勤務時間と有給休暇 ― 超過勤務について契約書に明記されていない場合、 雇用者は従業員に超過勤務を要求することはできません。
契約書に年次有給休暇日数が明記されていることが大切です。又、時期的なスタッフ不足を防ぐために雇用者は従業員の有休期間を指定することができます。この他に、雇用者は前年度の有休の持ち越しを禁ずることができます。
雇用期間 ― 契約期間、終結方法、補償金など。
給与及びその他の報酬 ― 給与額、及びその計算方法、給与調整方法、賞与、昇給など

契約書に有給休暇、病気休暇、又は停職手当の支給が無いことが明記されていない限り、同手当は支払われるものとします。従って、雇用者側が同手当の支給をしない場合には契約書にそのように明記されていなければなりません。

ケーススタディ: ある組合の事務局長が辞表提出後、退職当日まで病気休暇を取った。しかし組合側はその間の給与の支払いを拒否した。
判決: 契約書に「従業員が勤務不可能な場合においても、給与は支払われない」と明記されていないため、従業員はこの間の給与を受け取る権利がある。

従業員が事故に巻き込まれ勤務不可能な状態になった場合、雇用者は給与を払い続けるべきでしょうか?
雇用者が給与を支払い続けた場合、実際に事故を引き起こした第三者を補助していることとなり、逆に給与を支払わなければ同従業員の生活が困難になります。方法の一つとして、従業員に支払う給与をローンとみなし、第三者から支払われる賠償金の中から返済することができます。

・ 情報の機密
従業員が企業秘密その他を入手できる地位にある場合、同従業員は雇用期間中及び終了後その秘密を外部に開示しないという条件が含まれていることが大切です。

・ 競合と副業制限
雇用契約書に「従業員が空き時間に別の仕事をしてはならない」と明記されていない限り、同じビジネスであっても雇用者のビジネスの妨げにならない限り、一般的に副業は許されます。このため契約書中に副業禁止の条件を含めることが大切ですが、裁判所は従業員にどちらかの仕事に従事するよう命令はせず、賠償金の支払いを義務づける傾向があります。
又、雇用契約書に、雇用期間中又は終了後に、雇用者との競争を防ぐための条項が含まれていることも重要です。

ケーススタディ: 害虫駆除会社がオーム氏を雇い、その雇用契約書にはオーム氏が同会社を 退職した際に、退職後3年間シンガポール国内において同業の会社での勤務又は、同業の個人・パートナーシップ経営は行わないという条件が含まれていた。しかし、後に、彼は別の害虫駆除会社の役員に就任した。
判決: シンガポールの面積、3年間という期間、そしてオーム氏の職務を考慮に入れると、契約書の条件は会社のビジネスを守る上で適宜に必要ではあるが、オーム氏の就業を妨げることは元の会社の市場独占につながり、公益の侵害になるため、契約条件は無効となった。

・ 特許と著作権
将来的な論争を防ぐため、契約書には「従業員が仕事で得た特許または著作権は雇用者に属する」と明記すことが大切です。


1.2 Work permit, employment pass その他許可証の申請

シンガポールで働く外国人は許可証(パス)を取得することが義務づけられています。
一般的にブルーカラー労働者は work permit (work pass R) を、エグゼクティブレベル又は技能者の被雇用者はemployment pass(work pass P&Q)を取得します。シンガポール国内で働く半熟練又は未熟練外国人労働者に与えられるwork permit には産業ごとに外国人雇用比率が定められています。

建設業: 83%
製造業: 50%
造船業: 75%
サービス業: 30%
港湾船舶: 90%

外国人労働力への頼りすぎを防ぐために、政府は積極的にシンガポール人の雇用及び事業の機械化を奨励しています。

1.2.1. Work permit
Work permit (R)はシンガポール国民以外の労働者で月給が$2,000以下、又は、人材開発省就業許可局から employment pass (work pass P&Q) が発行されてない労働者に与えられます。(但し、永住権保持者は work permit を取得する必要はありません)
労働者を有効な work permit(work pass R) 無しで就労させることは犯罪とみなされ、初犯者は外国人労働者雇用税の24〜48ヶ月分相当の罰金、又は1年を超えない禁固、又はその両刑が科せられます。再犯の場合は1ヶ月〜1年の禁固、及び外国労働者雇用税の24〜48ヶ月分相当額の罰金支払いを科されます。労働者の職種などによって罰金は異なりますが、最高額は$22,560です。犯罪者が会社であっても、(例、ディレクター、マネージャー、秘書、その他のスタッフが work permit 無しで従業員の就労を許可した場合)適応されます
Work permitは3種類あります。
Work permit (R1) 2年間有効 熟練又は半熟練労働者として2年間のパスを取得するためには、条件として、国家技術資格NTC 3レベル取得者か同等以上の者。
Work permit (R2) 2年間有効 ・マレーシア人未熟練労働者
・香港、台湾、マカオ又は韓国よりの労働者
・建設、造船、港湾船舶、清掃業(町会清掃に限り)に従事する、バングラデッシュ、インド、ミャンマー、パキスタン、中国、フィリピン、スリランカ、並びに タイ(総称して、非伝統国と呼ばれている)よりの労働者
Work permit (R - 外国人メイド用) - 非伝統国及びインドネシアよりの(原則的に、女性)労働者
Work permit の有効期限は、一般的には、その後2年間延長できます。Work permit 申請が認可されなかった場合、letter of appeal を提出し、再審査を請願することができますが、結果はケース・バイ・ケースです。
外国人労働者雇用税〔賦課金〕 外国人労働者を雇っている雇用者が支払うもので(Annex B 参照)、シンガポール人および永住者の雇用を奨励するためのものです
1.2.2 Employment pass (P&Q)
Employment pass (P)は下記の条件を満たす者が保有することができます。
・ 管理職、専門職 (企業家、投資家並びに特殊技能者も対象)
・ $3,500以上の基本給(P2) 又は$7,000以上の基本給(P1)
・ 大学卒又は高等専門学校修了
・ GCE O レベル取得証書(最低5単位)又は国家技術資格NTC 2レベル取得者
Employment pass (Q)は下記の条件を満たす者が取得することができます。
・ 技術職、技能職
・ $2,000以上の基本給(Q1)、$2,000以下の基本給 (Q2)
・ GCE O レベル取得証書(最低5単位)又は国家技術資格NTC 2レベル取得者
申請書は人材開発省就業許可局に提出(様式は Annex A を参照)。申請書が認可されなかった場合、letter of appealを提出し、再審査を要請することができますが、結果はケース・バイ・ケースです。Employment pass は更新可能です。
1.2.3 Dependant pass(扶養家族許可書)
Dependant pass は従業員(P1,P2並びに Q1パス取得者)の配偶者およびその子女(21才未満)が受けることができますが、いずれも、人材開発省就業許可局の許可なく、働くことはできません。申請書は、人材開発省就業許可局に提出。(様式は Annex A を参照)
1.2.4 Social visit pass(労働者の両親または義理の両親)
従業員の両親または義理の両親のための social visit pass は最高6ヶ月間有効です。申請書は入国管理局にて提出。(詳細は Annex A を参照)
1.2.5 トレーニングパス
職業訓練用の短期 employment pass は月給が$2,000以上の従業員に与えられます。申請書は人材開発省就業許可局にて提出(詳細は Annex A を参照)。

PART II. 雇用期間中


2.1 従業員の権利と雇用者の義務

雇用法に反する雇用手段を取っている雇用者は$1,000を超えない罰金(再犯は$2,000を超えない罰金)、又は1年を超えない禁固、又はその両方が科せられます。しかし、これらの条件は労働者及び月給が$1,600以下の被雇用者に限り適用されるもので、その他の従業員(例えば、エグゼクティブ、マネージャー等)はそれぞれの雇用契約書、ないしはコモンローに従って規定されます。

2.1.1 給料
給料の支払い期間は雇用者側が定めることができますが、最低月に一度支払われなければなりません。給料(超過勤務手当を除く)は規定の給料期間の最終日から7日以内、超過勤務手当は給料期間の最終日から14日以内に支払われなければなりません。
2.1.2 勤務時間
契約上、被雇用者に継続して一日6時間以上の勤務・労働、または一日8時間以上、または一週間に44時間以上の勤務を要求することはできません。 また、月に72時間以上の超過勤務を行うこも禁じられています。 雇用者は被雇用者に週に一度、休日を与えなければならず、交代勤務制の職場の場合、 継続して30時間の休養時間を休日として与えられます。
2.1.3 年次有給休暇
被雇用者は就業開始後12ヶ月の間に7日間の有給休暇が与えられ、以後毎年1日の有給休暇が加算されます(14日間を上限)。(祭日・病気休暇を除く)
2.1.4 病気休暇等
12ヶ月以上勤務した従業員には14日間未満の病気休暇が与えられ(入院を省く)、入院が必要な場合には60日間与えられます。
Work permit 及び employment pass 保持者は医療補助金を受けて国立病院で治療を受けることができます。補助金の支払い率は一般的に以下の通りです。
C級病棟 80%
B2級病棟 65%
B1級病棟 20%
A級病棟 補助金なし
勤務中の事故が原因で入院した場合、雇用者は従業員をB1またはA級病棟に入院させる義務があります。
Employment pass 保持者である従業員の扶養家族(配偶者および18才以下の子女)も医療補助を受けることができます。
2.1.5 出産保護並びに優遇
妊婦である被雇用者は医師の許可無しに夜間勤務することはできません。妊婦は出産の前後それぞれ4週間の出産休暇を取る権利があり、その間通常の給与が支払われることになっています。 雇用者が産休中の給与を支払わない場合、$1,000以下の罰金、若しくは6ヶ月以下の禁固、又はその両刑が科せられます。女性被雇用者の産休中の解雇は禁止されており、女性被雇用者が産休その他の権利を受けられない契約は違法かつ無効とみなされます。
2.1.6 宿泊施設
雇用者が労働者へ宿泊施設の提供を引受けた場合は、それが下記の条件を満たしたものであることとなっています。
・ 妥当な施設であること
・ 十分な飲料水の供給があること
・ 衛生的であること
この他、宿泊施設は建築規制に基づいて建てられていて、救急用具が備わっていなければなりません。
Employment pass 並びに(熟練労働者)work permit 保持者は The Jurong Town Corporation に申請してHDB アパートを賃貸することができます。外国人労働者への賃貸期間は3年間です。
Housing Development Group
The Jurong Town Corporation
8 Jurong Town Hall Road
The JTC Summit #02-03, Singapore 609434
Tel 8855315, 8855325
Fax 8855939

Contact Singapore
100 Treasury #02-03, Singapore 179434
Tel 1800-3238402 (Toll free )
2.1.7 労働安全
雇用者は従業員の安全確保を保証する義務があります。又、労働環境が安全かつ労働者が安全装備を使用し、未熟練労働者(特に英語を解さない者)の指導を行う義務があります。雇用者がこれらの義務を怠った際に事故が発生した場合、労働者は訴えを起こし賠償を受けることができます。
2.1.8 労働災害に対する補償
就業中、シンガポール国内で労働者が、怪我又は職業病で、労働勤務不可能な状態になった、又は、死亡した際、労働者は雇用者を提訴するか、又は労働者災害補償法(Workmen's Compensation Act)に基づいて労働者補償金を請求することができます。一般的にこの法律は労働者 (月収$1、600以上の、非手仕事・非筋肉労働で雇われている被雇用者は含まれない)の為のもので、労働者は提訴するか労働者災害補償金を請求するかのいずれかを選ばなければなりません。
補償金を受けられるのは:
労働者本人
労働者が事故死した場合には、その扶養家族
労働者に扶養家族がない場合には、労働者基金 (the Workers' Fund)の資金となる。
雇用者は、労働者災害補償法に基づいて、責任保険に加入することが義務づけられています。保険の加入を怠った雇用者は有罪となった場合、$10,000を超えない罰金、又は6ヶ月を超えない禁固、又は両刑が科せられます。
労働者災害補償法法により設立された労働者基金(the Workers' Fund)は、以下の資金源をもとに運営されています。
・ 支払い期限を過ぎた補償金の支払いに対する利子
・ 扶養家族のいない労働者に支払われる補償金
・ 基金への寄付金
同基金の主な目的は、補償金を受けることができなかった原告者とその家族に支金援助を行うことです。
また、同基金は、リハビリが必要な労働者の医療費、及び産業向上・健康維持などのために使われます。
2.1.9 弁償及び返済
従業員が、雇用者の指示に従った結果生じた負債、損害、支払い等を、雇用者は、従業員へ支払う(黙示的)義務を負っております。
2.1.10 定年退職
法律で、定年退職年齢は最低62才と定められています。従って、62才未満の従業員の年齢を理由に解雇することは禁じられています ― 有罪となった場合、雇用者は$5,000以下の罰金、又は、6ヶ月以下の禁固、又は、その双方を科せられます。又、定年退職年齢が62才未満と明記されている契約書はその不適切な部分について無効とされます。
2.1.11 付加給付
エグゼクティブ・マネージャークラスの契約書には一般的に給与とボーナスの他に以下の付加給付等の取決めが含まれます。
・ 子女の教育手当
・ 車、ガソリン代、駐車場代
・ クレジットカード
・ 社内貸付
・ 医療保険・定期生命保険 
雇用者がこれらの給付をされる意向の場合は、後々誤解を招かないよう、それらについて契約書に明記されていたほうが好ましい。
2.1.12 税金の優遇(控除)措置
シンガポール国民及び永住者と同様、外国人従業員も所得税を支払う義務がありますが、税金の優遇(控除)措置も同様に適応されます。控除されるのは:
本人控除 納税者(55歳未満)に対し、一律$3,000。
勤労控除 勤労所得(納税勤労者が55歳未満の場合)に対し、一律$1,000。納税勤労者が、55歳以上、60歳未満の場合、$3,000、60歳以上の場合、$4,000。
配偶者扶養控除 扶養されておる配偶者(同居、別居の区別なく)があり、配偶者が分離課税を選択しておらない場合、一律$2,000
子女扶養控除 従業員の子女(未婚)で下記の条件を満たすものは控除措置を受けることができます
・ 課税年度の前年において16才未満、
・ 大学、学校、その他の全日制教育機関で授業を受けている、
・ 商業又は専門職の資格を得るために年季奉公に就いている、又は
・ 身体的或いは精神的疾病のため、自立が出来なくなった
三人目までの子女 $2,000
四人目と五人目(1973年8月1日以前誕生) $ 300
四人目(1988年8月1日以降誕生) $2,000
未婚の子女が下記の情況にある場合:
・ シンガポール国内で入学ができず、国外における大学又は同種の施設で、全日制の教育を受けている
・ シンガポールにおいて全日制ではない研究課程に進んでいる
課税年度の前年度において、減税額を超過した合計額が、子女の教育・養育費に支払われた場合、その費用全額が控除の対象になります。但し、この控除額は上記の法定控除額の2倍を超えてはならない。
独自の名前(旧姓)で課税を受けることを希望する外国人女性の子女には、その女性がGCE O レベルを(一回で3科目以上)パスしてるか、又はそれに相当する試験をパスしているか、それ以上の学位を得ている者には下記の控除が認められております。
子女区分 前年度1月1日の査定時点
で12才未満
前年度1月1日の査定時点
で12才以上
1人目の子女 収入の5% 収入の5%
2人目の子女 収入の15% 収入の10%
3人目の子女 収入の20% 収入の15%
4人目の子女(養子を省く)
1987年以前誕生
$1,500及び収入の25% $1,500及び収入の15%
4人目の子女(養子を省く)
1988年1月1日以降誕生
収入の25% 収入の15%
・ 自動車の使用:
従業員に、雇用者の所有する車が支給されておる場合、恩典を享受したとして、定められた方式で計算された額が、課税所得の対象となります。
尚、従来のQプレート(社有)車、SZ(レンタカー)車の区分が廃止され、S(私有)車に(車両関係の税が)統一されたことにより、1998年4月1日以降、雇用主の乗用車に関わる減価償却並びに費用控除ができなくなった。
・ 生命保険控除:
保険契約又は補償契約に対しての費用控除は認められませんが、従業員本人又はその妻の生命保険の年間掛金を所得から($5,000を上限として)控除する事はできます。尚、指定恩給制度、又は中央厚生基金への掛金(負担金)は控除対象となります(但し、その掛金が$5,000を超過する場合は、前述の生命保険年金掛金に対する$5,000の控除は受けられません)。

2.2 負担金、税金、その他
2.2.1 従業員の所得税の納税義務
雇用者は外国人従業員の氏名、住所、給与・報酬額等を所得税検査局に提出することを要求される場合があります。
雇用開始時 雇用者は従業員の雇用開始後3ヶ月以内に従業員の氏名、住所、雇用開始日、及び契約条件を検査局に通知しなければなりません。
雇用期間中 検査局は従業員の所得税をそれぞれの収入から差し引くことを指示する事が出来、その場合は、雇用者は10日間以内に指定額を納税しなければなりません。期限内に納税を怠った場合は、納税額の5%が追徴され、その後1ヶ月遅れるごとに1%づつ(最高 12%)加算されます。
雇用終了 雇用者は外国人従業員との雇用契約終了予定時期又は税金納入終了時を検査局に通知しなければなりません。検査局には最低、契約終了後の1ヶ月前までに通知し、この際雇用者は検査局の許可無しで(通達後30日が経過するまで)従業者に支払いを行ってはいけないことになっています。規則に背いた場合、雇用者は従業員の納税額の全額を支払わなければなりません。
2.2.2 Central Provident Fund (CPF)(中央厚生基金)への拠出
CPFは従業員の退職後の生計維持を確保する厚生年金制度で、シンガポール国内の従業員は全員加入が義務づけられています。従業員は毎月、給与からCPF口座に貯金することが法律で定められています。シンガポールでの滞在を終えて出国する外国人従業員、もしくは 55歳に達した従業員(いずれかの早い方)はCPFから貯金を受け出すことができます。
1995年8月1日以前の規定:
以下の条件に該当する従業員に対する、CPFへの拠出は免除されます。
・ Work permit 保持者
・ Employment pass 保持者 ― 1981年5月1日以前に雇用契約を交わした従業員
・ 認定された他の制度がある場合 ― 雇用者が従業員のために独自の恩給・年金制度を設定し、それが CPF Board にて認めらた場合、雇用者によるCPFへの拠出は控除されます。
1995年8月1日以降の規定:
Employment pass又はwork permitを1995年8月1日以前に発行され、なお且つ、CPF口座への貯金(納入)の継続を希望した外国人従業員は、 (CPFへの許可申請を1995年12月31日迄に行った場合に限り)、1998年12月31日迄、(雇用者と共に)納入を継続する事が出来ます(但し、同じ雇用者の下で勤務している場合に限られる)。
1995年8月1日以降に、employment pass又はwork permit(更新を除く)を取得した外国人従業員に対する拠出の義務はありません。外国人従業員と雇用者の間で、雇用契約にて、 CPFへの納入する取り決めがある場合は、外国人従業員の納入分は、控除の対象となるが、雇用者の拠出分は、外国人従業員の個人所得として課税対象となる。
1999年1月1日以降の規定:
上記(1998年12月31日迄の)経過措置の終了に伴い、CPFへの納入及び拠出は免除される。且つ、外国人従業員と雇用者が納入及び拠出した際は、控除の対象とならず、且つ、雇用者の拠出分は、外国人従業員の個人所得として課税対象となる。
2.2.3 技能開発税
総支給額が月$1,500以下の従業者を雇っている雇用者は、技能開発税を納入する義務があります。同税は労働者の技術や教育・訓練制度を含む専門知識の向上の促進のために使用されます。政府は雇用者が基金に納入した額の同額を拠出します。

2.3 雇用者の権利と従業員の義務
2.3.1 服従・忠実
従業員が雇用者の指導に従って忠実に勤務を行うことは雇用契約上の黙示条件とされています。従業員がこの契約に従わない場合、その行動は契約違反とみなされ雇用者は従業員を解雇することができます。
 従業員は、仕事を通して得た企業秘密を守る義務があります。法律では、雇用期間中の発明や発見は雇用者に属するものとみなされ、従業員はそれを雇用者に報告する義務があります。しかし、上記に述べた通り、契約書中に従業員の義務が明記される必要があります。
 従業員は同僚の不正、不相応な行為を雇用者に報告する義務もあります。又、自分の地位を悪用し貯蓄を増やすなどの行為を取った場合は、その利得を雇用者に払い戻さなければなりません。従業員の、副業として、雇用者の競争相手にあたる職場での勤務は(企業秘密を厳守したとしても)禁じられています。
ケーススタディ: あるゴム製造会社の雇用者が職員の勤務態度が悪いため、本人に文面で忠告したが、同職員はその通告を無視した。そのためマネージャーが文面で彼を呼び出したが、彼はそれも無視し、その後、三度目の呼び出しにようやく応じたが、彼は送られた書類にサインすることを拒否した。最終的に会社側は同従業員を不従順、不行跡などの理由で解雇処分にした。
判決: 繰り返しの呼びかけに応えず、会社が彼に対する信頼を損なったため、即時に同従業員を解雇したのは正当である。会社で同従業員は重要な地位にいたため、会社からの「信頼」はきわめて重要であり、従業員は契約の必須条件を違反したとみなされる。
2.3.2 無断欠勤
不十分な理由で欠勤することは、契約違反とみなされ、雇用者は損害賠償を要求することができます。欠勤が続いた場合、不行跡という理由で雇用者は従業員を解雇処分にすることができます。

Part III 雇用契約の終結


3.1 雇用契約の終結条件
・ 雇用者と従業員が合意した場合
・ 契約期間の終了
・ 辞職の通知
・ 事前通告なしに雇用契約が解除された場合
・ 不行跡による契約解除
・ 契約達成の不能から
・ Work permit/Employment Passの停止

3.2  契約終了
3.2.1 雇用契約終結の通知
一般的に、雇用契約の終結方法が定められていない場合、雇用者か従業者のいずれかが事前に通知した上で解約することができます。給与が月$1,600以下の被雇用者には雇用法によって以下の対策が講ぜられています。
雇用契約の解約は下記の規則に基づいて行われます。雇用期間が:
雇用期間が: 予告通知は
26週間以下 予告通知: 1日
26週間以上、2年以下 予告通知: 1週間
2年以上、5年以下 予告通知: 2週間
5年以上 予告通知: 4週間
ケーススタディ: ある工場に化学者兼プロダクションマネージャーとして雇われたピライ氏は 1958年3月〜4月に休暇を取った。休暇が終わって職場に戻ったが、実 際に仕事が始まったのは工場が生産を始めた7月だった。その後、ピライは マネージングダイレクターの会議の出席を拒否したため、解雇された。彼は 休暇中の2ヶ月間と仕事が与えられなかった期間の給与を会社に要求した。
判決: 一般的に、雇用契約は事前の通知があれば解約することができるが、従業員 が雇用者の意志に背くといった契約に反する行動を取った場合には事前通知 無しに解雇することができる。しかし、この場合、会議への出席を拒否した というだけで解雇処分にはできないと判断。又契約期間中、従業者が働く 用意ができていれば、給与を受け取ることができ、従ってピライは休暇及 び実際に仕事が始まった7月までの期間中の給料を請求することができた。
3.2.2 通知無しの解雇
雇用者又は従業員は通知無しで、又は通知期間の終了を待たずに給与を支払って雇用契約を解約することができます。
雇用者が従業員に対して出す解雇の事前通知期間は従業者の職種、職務、年功などによって異なります。
職種、職務、年功 通知期間
上級事務員 3ヶ月
セールスマン 3ヶ月
セールスマネージャー 6ヶ月
エンジニア 6〜12ヶ月
ケーススタディ: 原告人は被告側の会社の土木技師として、ある建築工事に監督として雇われ ていた。彼の雇用契約は無期限で、会社は1ヶ月の通知を提出後に解雇し たため、彼は会社が取った行動に異議を訴えた。
判決: 原告人の職種を考慮すると彼には十分な事前通知を受ける権利があるため、 3ヶ月間の通知期間が与えられた。
ケーススタディ: Wong Chee Hongは会社の人事・労使関係マネージャーで、任務であった組合 と労働協約の交渉に成功した。しかし、その直後に、同会社が経営する映画 館のマネージャーとして移動を言い渡されたが、彼は契約違反を理由に移動 を拒否した。
判決: コモンローによると、従業員は、雇用者側が契約の基本的要素に違反する行 動を取った場合、雇用契約を破棄することができる。彼の移動命令は本人か ら責務を奪い降職させるとみなされ、解雇同様の扱いとなるため、会社側は 賠償金の支払いを命ぜられた。
一方の当事者が、雇用契約の条件に意図的に違反した場合は、他方の当事者は、通知をせずに、契約を終結することができる。
契約違反又は、通知せずに解約した側は、通知期間中に支払われるべき額を、従業員に支払うことを要されます。
3.2.3 従業員の不行跡
雇用者は従業員の不行跡を理由に(事前の)通知無しで解雇処分することができます。
被雇用者が不正等に解雇された場合、解雇後1ヶ月以内に労働省に復職希望を申し出ることができます。
労働省が同被雇用者の解雇が不当なものであると認めた場合:
雇用者は被雇用者の復職、及び解雇されなかった場合に支払われるはずの金額を支払う か、又は
・ 雇用者は損害賠償金を支払う
雇用者が上記に応じない場合、地区裁判所より、有罪となった場合、$5,000を超えない罰金又は12ヶ月を超えない禁固、又はその両刑が科せられます。
3.2.4 危険性を理由に解約
被雇用者が、契約で引き受けなかった疾病又は暴行の危険により、被雇用者又は扶養家族が直ちに危険にさらされた場合、予告なしに契約を終結することができます。
3.2.5 契約の達成不能
・ 病気で勤務が不可能な場合
・ 監禁された場合
・ 死亡した場合
・ 法的に、(例:雇用者の出身国との間で戦争が生じて)不可能になった場合
3.2.6 Work permit の停止又は取消
Work Permit管理局により、work permitが停止又は取消となった際、通知から7日間以内に雇用契約を解除し、permit を返却しなければなりません。



3.3 給与・解雇手当
3.3.1 終了又は解雇の際の従業員への給与
雇用法では、雇用者が被雇用者を解雇した、又は、雇用契約を解約した際、終了日 又は 当日から3日以内に給与その他を被雇用者に対して全額支払わなければなりません。
被雇用者が解約した場合、契約終了日に支払われるべく手当等を受け取る権利がありますが、事前通知がない場合、雇用者は解約後7日間以内に支払いを済ませることが定められています。
但し、上記が行われる際には必ず所得税検査局(Comptroller of Income Tax)の許可を得なければなりません。雇用者は、解雇通知又は雇用解約を所得税検査官に通知した上で、30日以内に給与を支払うことが定められています。
3.3.2 解雇手当
勤務期間が継続3年未満の被雇用者は、過剰人員又は事業の再編成の理由で解雇された場合、解雇手当を受けることはできません。
3.3.3 退職手当
勤務期間が継続5年未満の被雇用者は、CPF(中央厚生基金)におけるその者の口座にある資金金額以外の退職手当を受けることはできません。
3.3.4 CPFの引き出し
CPFにある資金の引き出しが可能かどうかはマレーシア人国籍があるかどうかに関わります。マレーシア人従業員は、50歳の誕生日を過ぎるまで資金を引き出すことはできません。マレーシア以外の国籍を持つ者は50歳を待たずに口座から受け出すことができます。

3.4 雇用契約を違反して帰国する外国人従業員
3.4.1 マレーシア人
マレーシア人従業員で雇用契約を解約して帰国した者に対して、シンガポールの裁判所からマレーシアに召喚状を送り裁判所に出向くことを強いることができます。シンガポールで、従業員に返済命令が下された場合、マレーシアの裁判所によって執行されます。
3.4.2 その他の外国人
マレーシア人以外の外国人従業員の場合、Reciprocal Enforcement of Commonwealth が適用される国・地域でのみ、 法定命令が実施(強制)出来ます。
外国法人の子会社に、シンガポールに於いて勤務する外国人従業員が、企業秘密を売るなどの契約違反を犯した場合で、なおかつ、 雇用契約が外国の親会社と外国人従業員の間に交わされておる場合、シンガポールの子会社は、その外国人従業員をシンガポールの裁判所へ提訴出来るのか?
その提訴をシンガポールに於いて審理するかどうかはシンガポールの裁判所が決めます。
その際、 判断要因となるのは、
(1)契約書が作成された場所、(2)従業員の国籍、(3)関わりのある会社の設立国、(4)契約違反が行われた国、(5)証人の在住国などです。

3.5 Work permit 及び employment pass の返却

雇用契約が終結した時点から7日間以内に 雇用者は work permit を 労働許可証管理官(Controller of Work Permits)に返却します。Employment pass の場合、雇用者より人材開発省就業許可局への通知文書 及び 従業員の旅券を人材開発省就業許可局に提出して、 employment passの取消が行われます。


3.6 従業員の義務

雇用契約が終了しても、従業員に対する雇用者の権利は継続する場合もあります。このような法定権利は黙示的に契約に含まれますが、雇用者側は将来的な問題を避けるために、契約書中に明記することが大切です。

3.6.1 企業秘密
従業員は契約が終了した後もいかなる企業秘密も開示してはならず、従業員が confidentialな情報を開示することが判明した時点で、雇用者は裁判所の禁止命令を得て、従業員にその情報を引き渡すよう命令することができます。情報が既に開示されている場合、雇用者は従業員を起訴することができます。
ケーススタディ: VSL Prestressingは土木技師のスペシャリストで、プレストレス建築の許可 を持っていた。同会社は専門土木技師であるMulholland氏を雇い訓練した後 彼をシンガポールに東南アジア支店のマネージャーとして転勤させた。
彼は
生産製図、設置、コストデータ、市場調査に関する企業秘密書類を所持して いた。一年後、彼は急に会社を辞職し、(競争相手となる)独自の会社の開設 発表した。VSLは裁判所に禁止命令を要請した。
判決: 製造工程の秘密など営業秘密に関わる情報に対しては禁止命令がおりるが、 裁判ではMulhollandが得た情報は営業秘密ではないと判断しVSLの提訴を却 下した。
雇用者は従業員が得た一般知識の利用を禁止できないため、
Mulhollandは以前の仕事で得た情報を自由に活用することができた。

3.7 雇用主の変更または雇用の譲渡

雇用法では、下記の様に、雇用主が入れ代わったり、又は、雇用の譲渡がされても、雇用の期間及び継続性は中断されない:

・ 他の法人が雇用主として入れ代わった場合
・ 雇用主の死亡のため、個人的代理人又は管財人に雇用された場合
・ 共同経営者又は個人的代理人又は管財人に変更があった場合
・ 事業が他の者に譲渡された場合

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